輝く断片のあつめかた

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掌篇「何処に君はいるのか」日向永遠

皆さんお久しぶりです。約1か月ぶり更新です。
今回の地震、津波の傷跡の大きさは計り知れない影響があって、どう気持ちを整理してよいかわかりませんでした。自分には何ができるのでしょう?どう向き合っていけばいいのでしょう?そんなことばかり考えていた1か月でした。

 余震が何回もつづいています。不安はつのるばかりです。

 でも怯えていてもダメですね。自分は元気だと発信することも大事な事だと気が付きました。自分はちっさいけれど、その自分のこのブログを読んでくれる人がいる。それだけでも大事だと気が付きました。なので少しづつですが、更新を再開することにします。
 自分にできる一つがブログを書く事でもあります。

 改めて宜しくお願いいたします。

 以下は地震の事を思いながら書いた創作です。
 事実とは関係ありませんのでご注意ください。

********************************************************************
「何処に君はいるのか」日向永遠 

瓦礫の中を直人はさまよっていた。そして瓦礫となった家を見つける。

「何処にいるんだ。幸」たった一人の肉親。妹。まだ二十歳にもなっていない。倒壊した家の前で直人は泣き崩れていた。何時間も。日が沈み、夜露が直人ぬらす。涙とまじり頬を流れる。闇が包み込む。風が鳴く。ビューと鳴く。
寒さに震える。けれど行く宛が何処にある。声が聞こえる。

「兄さん。兄さん。泣いていてはダメ。生きていくことが兄さんたちの役目なんだよ。今は泣いていても、明日は歩きださなくては。歩けるだけ歩いて。その先に私はいるわ」

 風が鳴る。
「幸。側にきてくれ。もう一度、顔を見せてくれ」直人は顔をあげる。月もない夜。ひとつの灯りもない。一面、闇の底。原始の広野ではないのだ。近代の街が闇に沈んでいる。遠くに波の音がしている。人は何処にもいない。
「一人じゃないよ」直人は左右をみる。誰もいない。幻聴か。でも幸の声だった。
「生あるものはやらなくてはならない事があるんだよ」
「幸。やめてくれ。何処に希望があるんだ。幸の為に今まで生きてきたんだ。幸がいないのに僕は生きていく意味がない」
「何を言っているの。兄さん。生きていく事自体が意味があるのよ。たとえて誰も知っている人がいなくても生きて
いかなくてはいけないのよ。兄さんには解っているはず」

「幸。生き残る事は罪悪じゃないのか。自分が幸の替わりに死ねばよかったんだ」

「何を言っているの。そんなこと選べる事ではないわ」
「見えているだけが世界じゃない。一人では見えている範囲はとても狭いわ。今も昔も変わりない。情報の届かない昔の方が真実に近い場面もあったのよ。世界は多面だよ。生きていれば解る事が無限にある。そして人は無力じゃない。微力ではあるかもしれない。けれどその小さな力が世界を動かしているんだよ。兄さんだってそんな事わかっている。目を開けば見えることがある。涙で曇った目では見えないことが世界にはある。私はいつまで兄さんと一緒にいる。世界の誰とでも一緒にいる。生きていて兄さん」

 風がなり、波がなる。東の空が白んでくる。
「日の光は暖かいな」涙でゆがんだ太陽をみる。

************

何ヶ月過ぎた、瓦礫はまだあちこちに残っている。
その瓦礫の片隅にタンポポが咲いている。
「こんな所にも咲くんだな、幸はタンポポが好きだったよな」
「幸が言うように生きていくよ。生きていく限り、あきらめない。それが生きている者の勤めだから。だけど、時々は、休んでもいいよな」
 直人には幸の声がいつも聞こえる。それは、心にあった。
「兄さん。大丈夫だよ」
「そうか・・・・黙っていても明日はくる。けれどその明日を作っていくのは生きている者たちとそれを心から支えている幸たちだ。無駄は死も、無駄な生もない。なにも出来ないと嘆いているだけじゃなくて、普通に生きていくよ」

優しい風が吹きタンポポが小さく揺れた。それはまるで微笑んでいる様に見えた。
 
(了)

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掌編 | コメント:6 | トラックバック:0 |
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コメント

こんにちは、日向さん。
そうですね、私達にできることのひとつに、こうやって何かしらブログででも発信し続けることも大切なのかもしれませんね。

このお話、心に染みます。
東北の被災者の人達はあまりにも悲しすぎる厳しすぎる現実に、まだまだ辛く感じるでしょうけど、とても支えになるお話だと思います。
そして、それ以上に、阪神や中越地震などを体験して、今回は実際に被害に遭われていなくても、この大震災で当時の場面がフラッシュバックしてうつ状態になってる沢山の方達にこそ、これを読んでもらいたいな。

日向さんの作品、これからも楽しみにしています。
2011-04-09 Sat 17:22 | URL | picchuko [ 編集 ]
日向さん、おはようございます^^
お久しぶりのブログ更新、とても嬉しいです。
私も今日から再開しようと思いますので、またこれからもよろしくお願いいたします。

このお話のような事が現実になってしまった人達が、きっと沢山いるのでしょうね…
沢山のものを失った悲しみは、いつか癒える事があるのでしょうか。。。
何年も辛い思いを抱えて生きて行かなくちゃいけないえれど、
いつの日か、このお話のお兄ちゃんのように前を向いて歩いて行けると良いですね。。。
2011-04-10 Sun 07:36 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~(^^)
私もやっと気持ちが落ち着いたのでブログを再開することにしました。
日向さん、これからもよろしくお願いしますね♪

琴線に触れるような、素敵なお話ですね!!
家族を亡くされた被災者の方たちに
是非読んでいただきたいような作品だと思いました^^
死は選べないから、生き残った者が生き続ける…
それが亡くなった人への一番の供養かもしれないですね~。
2011-04-10 Sun 17:41 | URL | miwa125 [ 編集 ]
picchukoさん
こんばんは~
コメントありがとうございます。
また宜しくお願いします。

色々な人に読んでもらいたいです。これからも色々書きたいです。
2011-04-10 Sun 19:30 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~。
また再開しました。これからも宜しくお願いします。

これからも色々な作品を書いていきたいです。
本も色々読みたいです
2011-04-10 Sun 19:31 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
miwa125さん
コメントありがとうございます。
また始めますのでこれからも宜しくお願いします。
2011-04-10 Sun 19:32 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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