輝く断片のあつめかた

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

掌編「砂浜に寝そべって僕たちの行く末を考えていると夜空に星が流れた」日向永遠

 皆さんこんばんは~★

 読書があまり進まないので、また掌編です^^

これは 以前、書きました「少年たちの挽歌」より前に書いた作品です。

例によって意味不明な内容となっております。

良かったら感想、聞かせてくださいね。

********************************************************************
「砂浜に寝そべって僕たちの行く末を考えていると夜空に星が流れた」日向永遠

 一匹のモンシロチョウが強風を避け翅を休めている木陰に僕たちは佇んでいた。僕たちミッチとサクラとイチロウ、そして僕だ・・・は思い思いの格好でくつろいでいた。
「あっ、ひばり!」ミッチが叫ぶ様に言い、そして指さした先をみると、そこに黒い点のようにひばりが見えた。
「ただのひばりさ」僕は言った。これで新しい話題が出来たわけだ。僕たちはさっきから話が尽きてしまっていて四人とも気まずい感じだったのだ。
「でも見て、ぜんぜん前に進んでないじゃないの。あのひばり」とサクラ。見ると本当にそうだった。一生懸命、羽ばたいているのが分かるのに前に進むどころか、後退さえしていた。
「可哀想・・」とミッチ。すると今まで煙草をぷかぷかしていたイチロウが言った。
「可哀想?そんな事はない。あのひばりは、いま、一生懸命、強風に逆らって飛んでいる。飛ぶ空がある奴はいい、例えそこに強風が吹いていてもだ。可哀想なのはあのひばりを見ている事しかできない俺達さ」
「それさ!僕たちはこらから飛ぶ空を探しに行こう」僕は叫んだ。
「そうさ、僕らはあてのない旅人さ」とイチロウ。
「それより・・・」とサクラ「あたし、お腹がすいたわ」
   ★
 僕たちは町に着いた。イチロウとサクラはガラクタから作った置物やブローチ、ネックレスや人形を地面にひいたシートに並べ売る事にした。今日はその一日目。
 僕とミッチは町をぶらぶらと歩いていた。一日交代で店番をする事にしたのだ。だから僕とミッチは今日は休業日。
 僕たち二人は色々な店をみて回った。もちろんお金を持っているわけではないから買うわけじゃない。
「ねえ、あれなんか素敵じゃない?」
「うん・・・君なら似合うんじゃないかな」そんな事を話しながら僕らは歩いた。たわいのない遊び。
「ねえ、あたしたちこうやっていると恋人に見えるかしら」
「見えるかもな」僕はドキドキしながら言った。
 僕たちはアジトに帰った。イチロウとサクラも帰っていた。そこはとある公園のベンチ。
「駄目だった、全然売れなかった」広げた掌には数枚の百円玉があるだけだった。
   ★
「海が見たい・・海が見たいわ」とミッチ。僕らは殆ど飲まず食わずの状態だった。
「海?」とイチロウ。
「海!」とミッチ。
「う・み??」とサクラ。
「ねえ、海をみにいきましょうよ」僕たちは暫く黙っていた。
「それもいいかもな」とイチロウ
「砂浜に寝そべって俺達の灰色の未来について思いをめぐらすのも悪くないだろう。しかしそこから何かが生まれるとは思わないけどね」イチロウは詩人だと僕は思った。字を一つも書かない詩人だとも・・

 僕たちは幾つもの町を通り過ぎて海に近づいて行った。バスに乗る事が金銭的に難しかったのだ。無理をすればできないことだろうが極力出費はしたくなかった。
 華やいだ夜の町を通り過ぎた時、空から小雨が零れ落ちてきて、僕たちは小走りに古ぼけた駄菓子屋の軒に逃げ込んだ。ちょっとの間に雨は激しくなりそして通り過ぎていった。
 
 土産を残して。
 始めにそいつを見つけたのはサクラだった。「あれ、何?」と指さした先を僕は見た。
それはずぶぬれになった、ほんとうに小さな子猫だった。ニャーン。ミャーン。子猫は泣きながら地べたに座っていた。そして僕らの方を物悲しげに見た。
 ミッチが僕とイチロウの間をすり抜けて子猫の所へ行きそして抱き上げた。子猫はミッチの胸の中で目をつぶった。
「さあ、行きましょ」とミッチ。
「その猫、連れて行くのか」と僕。
 僕たちは四人と一匹になり、またゆっくりと歩き出した。
 僕たちは夜も眠らずに歩いた。

   ★
 海に着いたのは夜も開け始めた早朝。子猫は元気になったようだった。
 僕たちは太陽の昇るのを白い湿った砂浜に寝そべりながら眺めた。海面にキラキラ輝く白く赤い光。巨大な眩しい太陽。寄せては返す波。そしてその波の音色。早朝のひんやりとした空気。
 僕らそれらの前に寝そべってはいられなくなり、さっと立ちあがった。そして、一回、二回と深呼吸。
 みんなも僕にならった。
「ねえ、泳がない?」といなんりミッチは服を脱ぎ捨てて海に飛び込んでいった。
「もうすぐ夏、けれどまだ夏じゃない・・・春の陽の中で海に泳ぐか・・」とイチロウ。
 僕たちは裸になって泳いだ。子猫もだ。
   ★
 飛ぶ所は・・・何も見つける事はなかった。僕たちは今までも飛んできた様に思う。羽ばたいてきた様に思う。飛ぶ事は生きる事だって事は何も今知った事じゃない。
 僕たちは今まで飛ぶ気もなしに来たんじゃないのか?飛ぶのに場所なんて関係ないんじゃないのか?
   ★  
 夜。星の降る様な夜。
 風、吹きぬけて髪をなびかせる。
 月光、海辺に降り積もる。
   ★
 僕たちはまだ海にいた。砂浜に寝そべって。
「私たちこれからどうなるのかしら・・」とサクラ。楽天家のサクラらしくない。
「そんなこと、分からないよ・・・でもそれは僕らしだい」
「そうね、・・じゃあ私たちこれからどうするの?」
 イチロウが言った。
「僕らは四人だ、何故四人なんだ?」
「四人じゃないわ、四人と一匹よ」とミッチ。
 その時僕は夜空に流れる星を見た。
「イチロウ、お前・・」
「そうさ、俺達はしょせん、一人さ、俺は君たちと別れようと思う」と言いながらイチロウは立ち上がった。そして歩き出した。
「イチロウ待って」サクラはイチロウを追っていった。
   ★
「二人か」
「二人じゃないわ。二人と一匹よ」
砂浜には二人の足跡。イチロウとサクラの・・・。
 僕らは抱き合ったまま動かなかった。
「暖かい」とミッチ。
 夜よこのまま明けないでくれ。
   ★
 僕たち、僕とミッチの横を子猫は軽快に歩く。あての無い旅だけれど、僕たちの足はしっかりと大地を踏んで歩く。
 僕たちに悲しい事はなにもない。僕たちは今飛んでいるのだから。

 (了)

********************************************************************
スポンサーサイト

掌編 | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<無題 | ホーム | 「魔女のはかりごと 第15回(最終回)」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」>>

コメント

日向さん、こんばんは~♪

うわーこの掌編、すごく好きです!
青春の甘酸っぱさが伝わってくるようなお話ですね。日向さんの言葉の選び方もいいなぁ^^

>僕たち、僕とミッチの横を子猫は軽快に歩く。あての無い旅だけれど、僕たちの足はしっかりと大地を踏んで歩く。
この文章がお気に入り(*^^*)
僕とミッチの少しだけぎこちない関係に、子猫が潤滑油になりそうですね♪
未来が見えない不安が、少しずつ希望に変わっていく…文章から伝わってきます^^
素敵なお話をありがとうございました!
2010-09-30 Thu 20:23 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★
コメントありがとうございます。
嬉しいです。こんな話もたまには良いでしょうか?

この様な話、また考えてみたいなと思います^^
2010-09-30 Thu 22:56 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。