「魔女のはかりごと 第15回(最終回)」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」2010-09-25 Sat 13:43
魔女のはかりごと 第15回(最終回)
今では堀の魂の黒さは薄らいでいた。ハカリにはそれが分かった。孤独は魂を黒くもするし、逆に輝かせもする。しかし、いつも一人ではいけない。堀は知っていたはずなのだ。 そんな事は。しかしそれから目を逸らし自分の殻に閉じこもり、世界を対決すべき対象としか見ていなかった。それは孤独な戦いだった。自分を受け入れようしない世界への復讐だった。ひとの才能を能力を妬み、虐待の対象にして服従させようとする世界。例え、攻撃してこない人でもその心の中は嫉妬の気持ちで渦巻いている。それが社会だった。社会はどうしようもない人間の集まりで出来ていていて、そんな社会が堀には許せなくて、絶望していたのだった。堀はハカリの手の温もりを感じながら今まで自分の係わってきた社会のなかで、自分を遠慮勝ちに見ている視線を思った。それを自分は軽蔑の眼で見返していた。弱虫、意気地なし、お前たちに何ができる。そんな目でみても私はお前たちに、声をかけたりしない。 ハカリは堀をじっと見つめた。言葉はもはや必要ではないと感じていた。堀先生はこちら側にいる。魂は動いたのだと見知った。掌の下、堀の手の中の血液の流れがハカリの血の流れと共感している様に感じた。堀先生はもう大丈夫だとハカリは感じた。胸が熱くなりじんわりと涙が滲んできた。 「私はこの学校を去るわ」突然、堀が言った。その堀の言葉にハカリは驚き、手に力がはいった。 「この学校での私は私じゃなかったと気がついたのよ」 ノックの音がして、空子と本田が静かに部屋に入ってきた。ソラはハカリの横に本田は堀の横に座った。 「本田さん、あなたにお願いした量子さんと空子さんのスパイの話はなかった事にして」堀は本田を真正面からみながら言った。 「先生?量子さんに負けたの?さっきの話はなに?私の友達になってくれるって先生言ったのに」 「私はあなたを利用しようとしたのよ。社会に対する復讐。それはみんな不幸になればいいって思っていたから」 堀は今までハカリに話していた、自分の過去を本田に語った。 「羊の群れなんて生きている意味ないと思っていた。だから利用できるものはする。本田さんは羊だと思っていたのよ。それも群れから離れた羊の中でも弱い羊」 「本田さんの友達は私じゃない。自分のみつけないさい。本田さん、空子さん、私はこの学校を止める事にする」ソラはハカリを見た。ハカリなにしたのと。ハカリは左右に首を小さく振った。ソラはハカリの目がうるんでいる事に気がついた。そして堀を見てああ、大丈夫だと感じた。 「本田さん、何かあったら私でもハカリでも、ああ、ハカリって量子の事よ。どちらでもいいから何でも言ってね」ハカリとソラが本田麻里を優しく見つめた。本田はまだ堀先生の方を見ていた。 「私は間違っていたのかもしれない。弱虫は自分だった。孤立は強い事だと思っていたけれど、逆だったみたい。それは強さではなかった。自分に救いを求めていた人がいたのね。それにやっと気がついた。社会は駄目な人間の集まりだと思って諦めて絶望して、こんな社会なくてもいいと思っていたけど、弱いから社会があるのかもしれなない。ただ慰めあうだけでは、何にもならないけれど、そんな弱い人たちから社会はかえられるのかもしれない。量子さん。あなたは強いわね。空子さん、あなたも・・・そして本田さん、ごめんなさい。あなたは孤独じゃないわ。あなたが気付くだけで世界は変わるのね、きっと」 * * * * * * * * * * * * 堀教諭は学校を去って行った。その見送りは殆どなくて、クラスでの送別会もなくてひっそりと去って行ったのだったが、ハカリもソラも心は晴れ晴れとしていた。堀は最後に二人に向かって言った。 「量子さん、空子さん、新しい学校が務める事が決まったら連絡する。こんどはあなたたちに負けません。沢山の本田さんの相談にのって、助けてあげることにするわ」 「先生、応援してます」二人揃って言った。 堀が校門から出て行く後姿は颯爽としている様に見えた。堀にはハカリとソラの魂が見えた様な気がした。それはまぶしかったけれど暖かった。世界は目を向ける者には開かれているのだなと思った。 本田麻里は相変わらず一人で居る事が多かったが、いままで見たいに、孤立はしていなかった。少しづつ話をする友達が増えている様だった。 学校に魔女がいるとの噂が広がったのはそれから間もなくだった。 (了) ************************************************************* 長い間、お付き合いしていただきありがとうございました。 ソラとハカリには、またいつか会いたいと思います。 できたら虹子&紅葉と一緒に活躍できる話を作りたいなんて思っていますがどうなる事やら。 今まで応援、感想をいただいて本当にありがとうございました。 こんな素人の作品なのに読んでいただいて感謝しております。 これからも宜しくお願い致します。 次は、中断している機械蜘蛛の塔 を再開するべく頑張りますね。とりあえず復習してます。 スポンサーサイト
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コメント
日向さんの温かさに触れさせていただいて、本当にありがとうございました。
読んでる私の魂の方が、ハカリとソラによって温かい方へ動かされていくのを感じました。 読後感も清々しく、気持ちがいいです。 想像とは違った終わり方でしたが、私が思っていた終わり方の何倍も気持ちのいい終わり方でした。 続きが自然と頭に浮かんでくるような、いい作品だと思います。 完結できたことにおめでとうございますと有難うございますを伝えたいです。^^ 機械蜘蛛のお話も楽しみに待ってますよ! お爺さんは無事なのか、、、色んなことが気になります。^^
picchukoさん
こんばんは~★ 嬉しい感想ありがとうございます。ほんとうはもう少し暗い終わり方を考えていたのですが、変更してしまいました! 納得のいかない所がいっぱいあるのですが、まあ良かったかとおもいます(いつも見切り発車なので、矛盾だけ・・・) 機械蜘蛛の再開、まっていてくださいね^^
日向さん、こんばんは~(^^)
ハカリとソラの思いが堀先生の心と魂に届いて ホントに良かったです^^ 眩しいくらい輝きを持った魂になった堀先生は、 これから本田さんのような生徒をたくさん救って、 素敵な先生になりそうですね!!(*^_^*) 日向さん、面白くて素晴らしいお話を、 どうもありがとうございました~♪ これからも創作小説をどしどし書き続けてくださいね♪ 読ませていただくのを楽しみにしていまーす(^o^)/ 次は、機械蜘蛛の塔のつづきでしょうか~? 再開を楽しみにしていますね(*^^)v
miwa125さん
こんばんは~★ 最後まで読んでいただいてありがとうございます。 途中長い中断があったりして、すみませんでした。 なんかまとまりがない感じがします。 次は色々、熟考して話を作りたいです!! 機械蜘蛛も近々、再開しますよ~ 楽しみにしてくださいね^^
日向さん、こんばんは~♪
とうとう最終回ですね!ゆっくり読もうと思って、家に帰るのを楽しみにしていました(*^^*) 堀先生はハカリとソラのおかげで心を入れ替えたんですねぇ…本当に良かった。 最初こそ「酷いヤツ!」と思いましたが、根が悪い人ではなかったのでしょうね(^^) きっと新しい学校に行ったら、新しい気持ちで生徒に接する事ができるんだろうな~♪ とっても清々しい気持ちで読み終えました!日向さん、本当にありがとうございます。 ところで… >学校に魔女がいるとの噂が広がったのはそれから間もなくだった。 あれ、、、この終わり方ってちょっと怖い……?私の読み方が浅いのでしょうか(><) まさか本田さんが…?ドキドキ。 次は「機械蜘蛛の塔」の連載再開ですね~☆ またあの世界観が楽しめると思うと嬉しいです。楽しみに待っていますよ!(≧∇≦)
nanaco☆さん
こんばんは~★ 感想ありがとうございます!最後まで読んでいただいて凄く 嬉しいです!! 本当はもっとダークな終わり方を想定してたんです! 堀先生はハカリに追い詰められて逃げる様に止めて行く予定でした。だけど本田さんに重要な役をやってもらおうと登場してもらったら、こういう終わり方になりました^^ はたしてどちらが良かったか分からないですがこれはこれでよかったのではないかと思います。 >>学校に魔女がいるとの噂が広がったのはそれから間もなくだった。 逆に深読みすぎますよ~。本田さんの変身もおもしろいかも・・・ 機械蜘蛛の方も宜しくお願いしますね。10月にはいったらすぐにでも再開できるように今までの読み返してます・・・
こんばんわー☆
ここ数日読み逃げばかりしてました!すみませんでした! 完結おめでとうございます~♪ 最初思っていたよりなんだか温かい話になりましたね。 堀先生を救ったのは、ハカリのすごい能力とかじゃなくてハカリ自身の優しさだと感じました。 力があるからこそ知りえた事実で堀先生と話すことが出来たんだとは思いますが、 力があってもなくてもハカリとソラは堀先生に立ち向かっていったんじゃないかな、と思いました。 次は機械蜘蛛の塔!すっごく楽しみにしてます~♪
まる811さん
こんにちは~★ 感想ありがとうございます。 最初の予定と全然ちがう終わり方になってしまいました!! もっとダークな予定だんたんですよ~。 次は機械蜘蛛の塔、がんばります!! |
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