輝く断片のあつめかた

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

「少年たちの挽歌 第7回(最終回)」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

皆さん、こんばんは~★

最終回です。書いていて何度、書きなおしてしまおうかと思いました。

けど、ここには二十歳の頃の自分がいます。終わり方も気にいりません。
だけどそのままとしました。

皆さんがどんな感想をお持ちになるか不安ですがおしえてくださいね。


**********************************************************
少年たちの挽歌 第7回(最終回)

 4 少年たちの挽歌(承前)

(畜生!畜生!)治郎は、自分の移り気、心の軽さを呪った。彼は高熱と鋭い痛みの悪夢からこの部屋で目を覚まし、そして一週間が過ぎた今、陽子と美由樹を天秤にかけている自分を発見したのだった。そして陽子は既に死んでいる。死んだ人間と目の前の生きている人間では、先は決まっているみたいな物に治郎は思った。
 (どうやって、自分を罵ったらいいんだ。罵る?それではまるで全てが決まったみたいじゃないか)
 (自分がわからない、自分で自分がわからない)

家には時々、電話をするだけで帰らなかった。そのことには別にこころの痛みは感じなかった。

 土の橋の上に豪雨の中を立っている様だった。いつ崩れるか解らない橋の上。

 「美由樹さん、このままでは、あなたを好きになってしまいそうだ。でも俺にはそうなってはならない理由があるんだ」
 ある日、治郎は陽子の事を思いながら言った。
美由樹は黙って聞いていた。
 治郎は黙って、背を向けるとゆっくりドアに向かった。
「治郎君、可哀想な人。君は終わりなき負債でも背負っているつもりなの?」
(そうじゃないんだ・・・)治郎は思った。しかし何も言わずドアを開け外にでた。
「いつでも、戻ってきていいんだよ」美由樹の声が聞こえた。葉が一枚風に舞っていた。その風には、もう冬をかんじさせる冷たさがあった。

 遠くでサイレンが鳴っていた。それは段々近づいてきた。
 彼の手に大型のナイフが握られていた。血に濡れたないふをだ。
 彼の前に一人の少年が血の流れる腹を押さえ倒れていた。死んでいるのかもしれない。その少年の名は、浩次といった。
 治郎はゆっくりと洋一の方に顔を向けた。
「まさか、お前たちだったとはな」治郎は言った。
「お前たちが、陽子をやったとはな」と治郎は言った。

 コルトレーンで浩次と洋一はだべっていた。
「治郎の奴、あれから家にも帰らずふらついているらしいな」と洋一は言った。
「でもその原因をつくったのは俺たちじゃないか」と浩次。
「よせ、その事は言うな。陽子の事は」
そのとき、彼らの背の方の席で治郎はたちあがって彼らの方を暗い目でみた。浩次と洋一は気がつかなかった。

「よせ、治郎、俺たちが悪かった。やめてくれ」洋一は叫んだ。
 治郎は一歩、二歩洋一に近づいた。

そのとき、背後でパトカーの止まる音がした。

(まだ、終わっちゃいないだ)と治郎は思った。
サイレンの音はまるで挽歌の様に聞こえた。
(しかし、いったい誰の為の挽歌なんだ?)
治郎はゆっくりとそして段々早く洋一を追った。
「よせ、やめるんだ」後ろで警官の声があがった。

 洋一は何かに躓いたのか路上に倒れた。
 治郎はその上にナイフを垂直に持ったまま倒れ込んだ。
洋一のうめく声が聞こえた。
(まだ、終わっちゃいないだ)治郎は思った。
(あとはこの自分さ)

もう冬が来ていた。

少年たちの挽歌(了)

***********************************************

こんな話は今は書けないです。
この頃はかっこいい生き方とはどんな生き方とか、漫然と考えていた時期だったかもしれません。
スポンサーサイト

創作 | コメント:8 | トラックバック:0 |
<<「セピア色の凄惨」小林泰三を読みました! 「本日の1冊(13748)」 | ホーム | 「少年たちの挽歌 第6回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」>>

コメント

日向さん、こんばんは~^^
最終回、ドキドキしながら読ませていただきました!

あぁぁ、、、「挽歌」とはこういう意味だったのですね。本当に切ないお話です…
犯人はまさか、とは思ったけれどその心配が現実になってしまいました(><)
でも、不謹慎なようですがこういうラストって好きだったりします!
この作品を二十歳の頃に書かれていたなんてすごいですねぇ☆
面白い作品をありがとうございました。堪能させていただきました(*^^*)
2010-06-25 Fri 20:28 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★

前回のnanacoさんの感想で友達が犯人では・・とかかれていてドキっとしたのですよ。わっさすが・・・

これを書いた頃、ハードボイルド小説を結構読んでいて、多分に影響されています。治郎の姓が河野なのも、河野典生(殺意という名の家畜 で日本推理作家協会賞を受賞)から借りました。テキストにするという作業をしていて懐かしく思い出されました。

読んでいただきありがとうございました。
次はハカリ・・と 機械蜘蛛をなんとか終わらせたいです!
2010-06-25 Fri 22:28 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
これを二十歳で書かれたとは、さすがは日向さんです。
今の作品も素晴らしいですけど、やはり新鮮さを感じるのはこちらですよね。
そして、物語の展開のちょっとした省略や勢いみたいなものが、物語をより印象付けているように思います。

「もう冬が来ていた」という終わり方もいいですね。^^
第一話からだと想像もつかない展開でしたけど、話にのめり込んでいくうちに、一気にここまで来たって感じです。
面白い、、、という表現が正しいかどうか分かりませんけど、続きが待ち遠しくて、こういう結末なのに後味が悪くなくて、私も好きな作品です。

二十歳の日向さん、さすがです。^^
2010-06-26 Sat 06:43 | URL | picchuko [ 編集 ]
picchukoさん、おはようございます
コメントありがとうございます!

ブログにあっぷするの恥ずかしかったのですよ。
こんな話、今は思いつかないです。若さっていいですよね。
懐かしかったです。

でも話が暗くて、どうなかななんて思います。明るい話を書きたいと思うのですが、過去の作品にも殆どありません(泣)

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
2010-06-26 Sat 10:56 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
日向さん、こんにちは~(^^)

わぁ~、すっごく切ないラストですねぇ(><)
でも、治郎からすれば、
これが精いっぱいの陽子への「挽歌」だったんでしょうねぇ(!?)
もう冬が来ていた、というラストがすごく印象的で、
こういう象徴的なラスト、私も大好きです♪
素敵な小説ありがとうございます☆
とっても楽しませていただきました(*^_^*)
2010-06-27 Sun 16:29 | URL | miwa125 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~★

感想ありがとうございます!!
なんか、若いし青いし、ちょっと恥ずかしいです。
我ながら良くこんな、内容書いたなって感じです。

今は書けないです!!!
2010-06-27 Sun 19:49 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
こんにちはー☆ちょっとおひさしぶりです~

「挽歌」あぁそうか…と読み終わってすごく物悲しい思いです…
日向さんの小説って今書かれてるのはSFとかすごく壮大なお話だと思うんですが、
人間の内面…「存在意義」とか「世界での自分の役割」とか
そういう大きなものを前面に押しだしたやつじゃなくて、
こういう些細(へんな意味じゃなく)で繊細な心を書いた作品もすごく好きだったりします。
一番はじめに読ませていただいた「クリスマスの夜に誰を思う」とかすっごく好きです。
あっ、もちろん蜘蛛の話とかも大好きですよ!!
次も楽しみにしていますね☆
2010-07-03 Sat 13:53 | URL | まる811 [ 編集 ]
まる811さん
こんにちは!

コメント、ありがととうございます。


あまり、大上段に構えすぎると、話もうかんできませんね。
自分もクリスマスの夜~は大好きです。原点でもあるし・・

あまり難しいことは考えないで、思った事を書いていきたいです。
また読んでくださいね!
2010-07-04 Sun 16:05 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。