輝く断片のあつめかた

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「少年たちの挽歌 第6回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

皆さん、こんばんは~

第6回目です。今読むと凄く恥ずかしいのですが、最後までいきます。

次回、最終回です。

感想お待ちしています。宜しくお願い致します。

****************************************
少年たちの挽歌 第6回

4 少年たちの挽歌(承前)

「離せよ」といいながら治郎は振り向きざま、のっぽの腹に拳をたたき込んだ、のっぽはうっとうめきながら腹をおさえ前かがみになる。治郎はその顔に膝をいれた。のっぽの歯が折れ、地べたを転げ回った。
「このやろう」赤ら顔の男がナイフをつきだした。治郎は恐怖で動けなくなった。よけることが出来なかった。右手をゆっくりあげるのが精一杯だった。その右腕にナイフの歯が深深とつきささった。激痛に叫び声がほとばしった。真っ赤な血が吹き出した。赤ら顔は自分でも驚いたらしく、慌てて後ろにさがった。ナイフが抜かれた事で血はますます激しく溢れだした。赤ら顔の男の手からナイフがコンクリートの床に乾いた音をたて落ちた。赤ら顔が逃げ出した。のっぽも眉間に傷のある男も慌てて後を追う。

 治郎ひとりが残された。治郎の心臓が激しく脈打つ。その音が廃工場の中に響いている様に感じた。
 体が異様に軽くなったように感じた。(手は動くのか)鋭い痛みだけが襲い、右手は言う事を聞かない。治郎はゆっくりとコンクリートの地面に目をやった。血だまりの先にナイフが見えた。治郎はそれを拾うと工場をあとにした。血の跡がつづいた。左手で右腕の傷を抑える。行くあてはなかった。段々、目が霞んできた。(医者だ。病院に行かなくては・・・・こんなことで死ぬのは厭だ)治郎は崩れるように歩道に倒れた。そして気を失った。

 本棚にはあらゆる種類の辞書が乱雑に並んでいた。そしてその下の段にはこれまたあらゆる種類の詩集類があった。
 「辞書というものはね、引くものじゃないの。読むものなのよ、それに詩は人が言うような文学的なものじゃなくて、クイズみたいなものよ。何も難しいものじゃないのよ」
(俺はなんて駄目な、情の薄い男なんだろ)

 薄い緑色のカーペットの敷いてある部屋。冷蔵庫の小さな音が響いている。東向きの窓には薄い黄色のレースのカーテン。
(この腕に傷の痛みがなければ陽子の事を・・・忘れてしまいそうだ)
小さなカラーテレビばオレンジ色のカラーボックスの上に置かれている。その横に名の知れない花が活けてある。
(俺と言う人間はなんて駄目な、薄情な男なんだ。死んでしまえば良かったんだ)

「まだ、子どもの癖して、いったい何を悩んでいるのさ。また陽子って娘(こ)の事?もう死んでいるんでしょ?」
「私は陽子って子みたいなお嬢様とは違うわ。そんなにデリケートにはできていない。襲われても、それで妊娠してもしつこく生きて行くわ。子どもを産むかはわからないけどね」
 島美由樹は、山本陽子よりずっと肉感的で魅力的な女性でこの部屋の住人だった。美由樹に助けられて治郎はこの部屋にそのままいついてしまったのだった。美由樹は厭な顔ひとつしない。一週間がすぎていた。
 右腕の傷はまだ痛むのだがもうほとんど治りかけている。けれど心の方はかえって傷が深くなっていくような感じだった。
「血だらけの君を見たときは驚いたわ。気を失ってたでしょ。女の私ではここまで運ぶの大変だったんだから。引きずるようにして運んだんだよ」
 それは不快な声ではなかったのに彼の心を暗くさせた。
(今、俺は陽子のじゃない声を聞いている。そしてそれをいいことに陽子を忘れようとしているじゃないのか)
「何故、病院や救急車を呼ばなかったんだろうね」美由樹は小首を傾げた。
「寂しかったのね私。田舎からこんな都会にでてきて、まだ間もなくてひとりぼっちで。淋しかったのね。それで、君をこの部屋に連れてきたのよ。君には不思議な魅力があるのね。母性本能をくすぐるなにかが。それが君の傷付いた体からきているのならいいけど。
心からきているなら・・・」美由樹は口をつぐんだ。次の言葉をさがしているらしかった。
結局、美由樹はその続きを話さなかった。治郎はそれを聞かなくて良かった様な気がした。


つづく
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コメント

ホント、想像もしない展開ばかりで驚いています。
そして、次へ次へと急かされるくらい、続きがとても楽しみです。
次回が最終回なのですか?
この話をどう纏められたのか、さすがは日向さんですね。
今回も、まさに目の前に起こる出来事のように、場面が浮かんできました。
ドキドキしながら最終回を待ってます。
2010-06-23 Wed 01:41 | URL | picchuko [ 編集 ]
こんばんわー☆
陽子の日記とその後の治朗の行動、なんだかやりきれない感じですねぇ…
そして、最終回直前に出てきた美由樹。うーむ。。。
いったいどんな結末になっているのか、予測がまったくつきません!
2010-06-23 Wed 02:40 | URL | まる811 [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~^^

もう次は最終回なのですか!? もっともっと読んでいたいです~(><)
治郎を助けた美由樹。美由樹の治郎への想いはこのままだとどんどん強くなるのかな?
そして、そうなればなるほど治郎の陽子への想いも強まると思うのです。。。
陽子は自ら命を絶つ事で、治郎の中に永遠の居場所を見つけたのですね…切ないです(泣)
自分なら、陽子と美由樹どっちのタイプだろう?と考えてしまいました(^^ゞ
最終回、楽しみに待っています!!
2010-06-23 Wed 21:40 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~(^O^)

わわっ!やっぱり治郎は無事じゃ済まなかったんですねぇ(><)
治郎を助けた美由樹が寂しげな女性だけに、
治郎は、陽子のことを想いつつも、
この女性から離れられなくなりそうですね(-_-)
最終回が、どんな展開になるのか…
想像もつかないだけに、とっても楽しみです(*^_^*)
2010-06-24 Thu 18:13 | URL | miwa125 [ 編集 ]
picchukoさん
こんばんは~。返事が遅くなりました。ごめんなさい。

最終回、あっぷしました。なんか恥ずかしいです。
感想、是非おしえてくださいね。
2010-06-24 Thu 22:28 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
まる811さん
こんばんは~★

返事おそくてごめんなさい!
若いです(書いている自分)こんな話は若くなくてはかけないかも・・・気恥ずかしくて・・・最終回も宜しくお願いします(*^^)v
2010-06-24 Thu 22:30 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★

最終回アップしましたよ~。もう全部書き直したい程、恥ずかしいのですがそのままとしました。
昔に戻った様なへんな気持ちでしたよ^^
最終回の感想が怖い様な気がします。
2010-06-24 Thu 22:32 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~★
感想ありがとうございます。

最終回は皆さんを裏切るんじゃないかと・・・怖いです。
是非、感想教えてくださいね。
2010-06-24 Thu 22:33 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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