輝く断片のあつめかた

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「少年たちの挽歌 第3回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

皆さんこんばんは~、山梨も昨日から梅雨入りです!!

朝方は寒いと思うのですが日中はじめっと蒸し暑くなります・・

少年たちの挽歌 3回目をお届けいたします。

感想、応援、宜しくお願い致します。(*^_^*) 

*********************************
少年たちの挽歌 第3回

 2傷付いた少年の心 (承前)

「陽子の家に行かないのか?」と洋一が聞いた。
「今は行かない・・・本当に陽子はこの世にいないんだな?」
「ああ」
「暫く一人にしてくれないか」治郎がそう言うと洋一は黙って離れて行った。

 治郎は何時しか海辺に来ていた。闇の中、波の音が響いている。入江の向こう側の街の灯が波間に映りそれが揺らめいている。いつもと変わらない夜の海の風景。治郎は砂辺に膝を抱え座った。自然、涙があふれ出てきた。いつも変わらない風景。いつもなら何処かで息をしている陽子がいない。今にも後ろから声をかけられそうな気がするのに。
 何故、自殺なんか。わからなかった。もっと嫌がられても聞くべきだった。あんなに思い悩んでいたのに。自分はなんの助けにもならなかったのか。涙の中、海面に映った街の灯が滲んだ。何故、相談してくれなかったのだろう。恋人きどりでいた自分はいったい何をしてあげただろう?治郎は膝と膝の間に顔を埋め声をだして泣いた。

 家に帰ったのは朝方近くになってからだった。布団に入っても寝ることはできず直ぐに朝になった。治郎の心の奥深くに何かが居座った。その感じは歯を磨いても顔を洗っても無くなることはなかった。陽子は死んだ、自殺したという事を一晩中考え、そして出来る事なら忘れたいと願ったが出来る筈がなかった。

 その日、治郎は学校を休み、午後から陽子の家に行った。
 陽子の家に着くとそこにはクラスの陽子と仲の良かった女生徒が何人か来ていた。校長をはじめ教師も何人か来ていた。こんな時だけ教師顔しやがってと治郎は理由もなく思った。治郎が玄関から陽子が寝かされている奥の座敷に行こうとした時陽子の母が見えた。
陽子の母は治郎を見ると視線を治郎に向けたまま近付いてきた。
「治郎さん」母親が言った。その口調に非難の色があり治郎は厭な予感に襲われた。母親は何かを堪えている様だった。が暫くして堰を切ったように喋りだした。
「あなたが、あなたが陽子を殺したのよ。責任をとって。あなたが陽子を・・」陽子の母親は手をあげ治郎の頬を思い切り張り、そして泣き崩れた。そばにいた皆の視線が治郎に刺さった。
「おばさん、それはどういう意味ですか?僕にはわからない」治郎はできるだけ平静を装って聞いた。それがかえって反感を買ったらしく、母親が顔をあげたときはっきりと憎悪が燃え上がるのが分かった。普段の母親を見たのなら陽子そっくりに見えただろう。しかし憎しみと怒り、そしてなにより悲しみからその顔は歪んでいた。
「しらばくれるの?」さっきと打って変わって穏やかに話すその口調はかえって凄みがあった。
「陽子は妊娠してるの。そんなに親しいのはあなたしかいない。妊娠を苦に自殺したのよ」
 治郎は耳を疑った。妊娠だって?馬鹿な。自分じゃない。まだそこまでの関係じゃないんだ。治郎は叫びそして逃げるように駆けだした。
 陽子は妊娠していた。そしてそれを苦に自殺した。俺じゃない。すると誰なんだ?
学校は河野治郎だと考えていた。

 河野治郎は退学処分となった。

 結局、治郎は陽子の死に顔すら見る事が出来なかった。後で知った所によると陽子は睡眠薬による自殺だった。そして妊娠3ヶ月。3ヶ月というと何回かあった沈んでいた時期の最初の頃だった。

「ほんとうに、困った子だよ」治郎の母親は言った。治郎は黙っていた。なにも言いたくなかった。何を言っても同じ事だと思ったし、解ってくれないと思った。
「女性の一生を台無しにしたんだよ。どうやって償う気だい。ほんとうに困った子だよ」

 何も解っていないクセに・・・・俺の母親なのに・・俺を少しは信じてくれよ。治郎は思った。

 陽子の葬儀がすんで皆が落ち着きを取り戻し始めた頃、治郎は街でばったりと洋一にあった。

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創作 | コメント:4 | トラックバック:0 |
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コメント

日向さん、こんばんは~^^

続きが気になって気になって、一気に読んじゃいました♪
うわーー謎が深まるばかりですねぇ(><)
まさか陽子が妊娠していたなんて。でもお腹の子は治郎の子ではない。。。
陽子の死は相当なショックでしょうが、それ以上に隠し事をされていた事も辛いでしょうね。
自殺、、、陽子の遺書は残っていなかったのかな…
続きが早く読みたいです!!(*^0^*)
2010-06-16 Wed 19:38 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★感想すごく嬉しいです。

いっきに行きます。いよいよ挽歌の意味がわかってくる展開になるんですよ。
今はこの様な話、書けないです。若かったからかけた内容かとおもいます。またすぐにアップできるようにがんばってテキスト化しますね~。
2010-06-16 Wed 21:43 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~(^o^)
うわぁ~、治郎にとっては、陽子が自殺しただけでも
立ち直れないくらいショックなのに、
自分の子じゃない子を妊娠してたなんて…
もう、こうなったら、治郎は真相を究明するしかないですね!!
陽子のためにも、自分のためにも。。。
続きを楽しみにしていま~す(^o^)/
2010-06-17 Thu 18:27 | URL | miwa125 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~★
コメントありがとうございます。
できるだけ早く続きを書きますね。
自分で読んでいていて恥ずかしいのですが、続きも宜しくおねがいしますね^^
2010-06-17 Thu 21:56 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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