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「少年たちの挽歌 第2回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」2010-06-12 Sat 11:06
皆さん、こんにちは~
またまた間を開けてしまいました。ごめんなさい。 週の内、機械蜘蛛か、ハカリかこの少年たち~のどれかを必ず一回はアップしたいと思っているのですが・・・こんな、不定期で本当にごめんなさい。 読んでいただければ嬉しいです。 宜しくお願い致します。 ***************************** 少年たちの挽歌 第2回 1.少年の日々(承前) 授業が終わり家にいた治郎は、母親とちょっとしたイザコザがあって、家にいるのが厭になり、ちょっと散歩してくる!と言いざま、家を飛び出した。もう日は暮れはじめていて、陽は赤くそまっている。治郎はまたコルトレーンへ向かった。 家が少しとぎれて右に塀が続いている。そこは水銀灯がとびとびにあって、そのひとつは壊れているのだった。その壊れた水銀灯の薄明かりの中、人の気配があった。様く見ると一人の若い女性が三人のたちの悪そうな男に取り囲まれているのが分かった。 「よう、姉ちゃん。いい顔してるじゃないか、ちょっとドライブにでも付き合ってくれねえか」一人の男が女性を挟む様に両腕を塀に着きたてている。女性は怯えていて声も出せない様子だった。 治郎はこんな連中とひと悶着起こすのも厭だったし、それ以上に怖かったので通り過ごすことにした。 「河野くん、助けて!」その時、後ろで起こったその叫びに近い声はまぎれもなく陽子の声だった。 治郎はくるっと向きを変えた。一瞬、どうしようか迷ったけれど、次の瞬間には彼は、そのチンピラに猛烈な勢いで体当たりしていた。治郎の頭が陽子に覆いかぶさる様に威嚇していた男の背中に厭と言うほどの力でぶち当たっていた。男は横に飛ぶように倒れた。 しかし残りの二人に治郎は直ぐに両腕をとられ取り押さえられてしまった。陽子はそのすきに離れた所まで逃げおおせた。 「こいつ、なめたまねしやがって」倒れていた男が立ち上がりざま治郎の顔を一回、二回と殴った。鼻血がふきだした。 「止めて!」堪らず、近付いて叫んだ陽子に男はびんたを食らわせた。陽子は飛ぶように倒れた。そのすきに治郎は男の股間を蹴り上げた。男は一瞬、体が宙に浮き、そのまま地面に崩れ落ちた。それを見た、左にいた男が治郎の腹にパンチを食らわせた。治郎は悶絶しその場に崩れ落ちた。その後、治郎は気を失ってしまった。 「河野くん、河野くん、しっかりして」陽子は治郎の体を揺さぶりながら泣くような声で言った。 「うっ・・」治郎が気がついて、真っ先に感じたのはわき腹の猛烈な痛みだった。気絶している間に何回も蹴られたらしかった。 「治郎君。大丈夫?」陽子が心配そうに治郎の顔をのぞき込む。 「だっ、大丈夫」体の節々が痛かったが治郎はなんとか起き上った。(かっこ悪いな)と彼は陽子には聞こえない様に呟いた。 「それより山本さんの方こそ大丈夫?」 「ええ、私はあの人達がどっかにいくまで怖くて隠れていたから・・あの人たちT高の人たちよ」 ・・・・・ 「治郎と陽子はうまくいっているようだな」と浩次が言った。コルトレーンの店内には今日はデープ・パープルが鳴り響いていた。浩次の横で洋一は水割りを手にしている。治郎の横には今日は静江が座っていた。 「うん、山本さんも俺の事を・・・」 「山本さん?陽子って呼べばいいじゃんか」と洋一。 「そんなこと・・・」 「あー、妬ける。妬ける」と浩次がはやしたてた。 「それで、やったの?」と静江。 「やったって?」 「セックスにきまってるでしょ」 「そんなことする訳ないだろ」治郎のその声は少し大きかった。 「へえ、案外、純情なのねえ」と静江はガッカリした様子で言った。 「お前みたいな女とは陽子は違うんだよ」と洋一が言う。 「そうかな?そんな事ないとおもうんだけどね。でも・・・でも、やっぱり、やりたいんでしょ?」 「そんな事は・・・」治郎はそういう思いが無いというと嘘だったが自然にまかせたかった。急ぎたくなかった。 2・傷付いた少年の心 こんなこと前にもあった事なので治郎はあまり、気にしなかった。。その頃は治郎と陽子は公認のカップルとなっていた。二人を見る目が色々だという事に治郎は気付いていなかったが。中には敵意さえ見せているものがいたと言うのに。 十月の秋晴れで空がどこまでも高く見えたある日。陽子は何時になく沈んでいた。何かよっぽど思いつめている事があるらしい。しかし治郎が何を聞いても、大丈夫だからとの返事しか返してくれなかった。治郎も自然、それ以上何も聞けなかった。 それから数日たった夕方、コルトレーンに治郎はいた。今日は一人だった。バラードが物悲しく響いていた。前におかれたコーヒーには口がつけられていない。いつしか冷え切ってしまっていた。陽子はどうしてしまったのだろう。陽子はあの日以来沈んだままだった。自分がそばに行っても上の空だった。 その時、突然、洋一の声がした。 「治郎、大変だ」凄く大きな声だった。 「なんだ、洋一か。なにそんなに慌てているんだ?まあ座れよ」 「それどころじゃない。陽子が・・・」言いづらそうに逡巡する洋一。治郎はそこに不穏な気配を感じ、体が硬直するのが分かった。 「どうしたんだ、陽子になにかあったのか?」洋一は一語、一語、よっくりといかにも苦しそうに喋った。 「陽子が・・死んだ」治郎の目の前が真っ暗になった。膝が震えだした。 「し、死んだって?何故、どうして」蚊の喋るような小さな声で治郎が聞いた。 「陽子は自殺したんだ」突然の静寂が治郎を支配した。世界から音が消えた。自殺という言葉が頭の中に木霊した。静寂が戻りいつもの店内に戻った。 「嘘だ・・」治郎はそのまま店をとびだした。後ろで洋一が慌てて、清算しているのが気配で分かった。洋一は直ぐに追いついてきた。 「原因。自殺の・・何故自殺なんかしたのか知ってるか?」知らないと洋一は答えた。 「治郎、お前にも分からないのか?」逆に聞かれた。 「俺が・・知らないんだ」 (つづく) スポンサーサイト
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コメント
えぇ~!この先、一体どんな展開が待っているのでしょう!?
全然、予想もしなかった物語の流れに、驚きつつ引き込まれてしまいました。。。 これ、確かすでに完成されてる作品ですよね。 早く、少しでも早く続きが読みたいので、近々のアップ楽しみにしてますよ~!!^^
日向さん、おはようございます~♪
今連載している3つの作品、どれも全く雰囲気が違うので凄いです!! 今週はどの作品がくるかなぁと、何だかワクワクしてしまいます(*^^*) 「少年たちの挽歌」意味深なタイトルだな、と思っていたのですが、 おぉっ…だんだんとその意味が少しだけ分かってきたような気がします。 陽子は何故自殺したのでしょう?生きていた頃に見せた沈んだ表情の意味は? すごく気になります!続きを楽しみに待っています(><)
こんにちはー☆
わ、こうなっちゃうんですね!! 陽子に何があったんでしょう…? 人が死んでしまうこととその背景、それに周りの人の行動… 20才の頃の日向さんがそれをどう描いているのか、ものすごくこの先が楽しみです。
日向さん、こんにちは~(^O^)
わわっ!衝撃の展開で、本当にビックリです!! 陽子の死…それが「挽歌」と繋がるわけですね!? 陽子は本当に自殺なんでしょうか…? 治郎は、これからどういう行動を起こすんでしょう? 続きがとっても楽しみです(*^_^*)
picchukoさん
こんばんは~ 嬉しいコメントありがとうございます!! 二十歳頃の作品です。今読むとなんか恥ずかしいです。 大学ノートに青い万年筆で書かれた汚い字をみてると懐かしく、学生時代を思い出します。 テキスト化してアップするだけなんですが・・・。 出来るだけ早く次を書きますね。
nanaco☆さん
こんばんは~★コメント嬉しいです。 本当はハカリの物語を続けたかったのです。けれど、もうひとつの様な気がしてまだ書けません。そこでこの昔のをひっぱりだしてきました。今は書けない作品かもしれません。なんか、凄く恥ずかしいですよ。続きも宜しくお願いします。
まる811さん
こんばんは~★、コメントありがとうございます。 これを書いてい頃、自分は東京は大田区に一人、借家住まいでした。今は懐かしいモルタルの2階だて、風呂はなくて、トイレも共同で四畳半の部屋でした。なんか懐かしい。でも書いていた記憶は授業中ばかり・・・。 続きもできるだけ早くテキスト化してアップしますね。
miwa125さん
こんばんは~★、コメント嬉しいです!! 今は絶対書けない作品だと思います。なんか読んでいて恥ずかしいですが、感性は変わっていない気もします。 勿論、携帯は無い時代ですよ~。昔でしょ? 続きも宜しくお願いします。 |
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