輝く断片のあつめかた

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「少年たちの挽歌 第1回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

ちょっとお久しぶりです。

最近、多忙なうえに暑かったり、とおもったら寒かったりと寒暖の差が激しくて風邪気味で体調を崩しております。早めに風邪薬をのんだのですが、本調子ではありません。

機械蜘蛛もハカリの物語も頭の中では進行(少しですが)しているのですが中々進めません。

そこで、昔書いた長めの作品を披露する事にいたします。20頃の作品です。

今読んでみると、なんか青くて恥ずかしいです。完結しているのでお待たせしないで続けますので気が向いたら読んでくださいね。

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少年たちの挽歌 第1回

1・少年の日々

 髪の毛は肩まで伸びていて、真ん中から分けて、額は三角に見える。細い眉。少し大きめな瞳。形の良い鼻。そして白い肌。一時間目の現代国語の時だった。
「ねえ、河野君。消しゴム貸してくれる?」山本陽子が、大きめの目を細めながら言った。
「え、消しゴム?ああ、良いよ」河野治郎は慌て気味に言った。今まで陽子の方を横目で盗み見る様していたからだった。
 陽子は何処にでもいる女生徒だった。だた気が人一倍、強い。そして何を考えているのか良く解らない所があった。治郎はそんな陽子に好感を持っていた。儚い恋心。陽子の方は自分の事をなんとも想っていない事を知っていたが。
 彼は机の上の消しゴムに手を伸ばした。その時、陽子の手も消しゴムを取ろうとした。陽子の手が治郎の手に重なった。治郎は顔を赤くして手を引こうとした。治郎の心臓が早鐘を打つ。陽子はと見ると平気な顔をして、借りた消しゴムで字を消している。治郎はこんな自分を酷く駄目な人間に思えて目を伏せた。
「はい。ありがとう」と言いながら陽子は消しゴムを返した。
「ねえ、河野君。放課後、図書室で待っててくれない?ちょっと話があるんだけど、いい?」
「うん」治郎は頷いた。それは思ってもみない言葉だったので彼は反射的に返事してしまったのだった。何故って聞こうと思ったけれど、出来なかった。彼はその言葉が嬉しくもあり、不思議だった。治郎はそれからの授業に身が入らなかった。
 色々考えてみた。ひょっとしたら彼女も俺の事を好きなんじゃないか、なんて思ってはみたけれど、そんな事ないと打ち消した。結局、思い当たる事はなかった。
 授業が終わり、陽子は教科書やノートを鞄の中に仕舞い始めた。治郎はその時陽子の鞄の中に鍵がかかる様に出来ている白く厚いノートを見た。日記だなと治郎は気がついた。
陽子が出て行って暫くしてから治郎は図書館に向かった。
 陽子は既に図書館にいた。まだ二人の他に誰もいない。陽子は暫く黙っていたけれど、やがて意を決した様に話し出した。
「お節介だと思うけど・・・河野君、たばこ吸っているでしょ?」治郎はドキッとした。事実だった。
「不良グループと付き合ってるでしょ?」
「ああ」治郎はガッカリするとともに急に腹立たしくなってきた。そんな事陽子に言われる筋合いはない。それに不良グループと言ったって周りのみんながそう言うだけで、本人たちはそう思っていない。酒をんだり、煙草をすったりしながら話をしているだけじゃないか。その何処が悪いんだ。そりゃ中にはナイフを隠し持ったりしてる奴もいる。でもそれを使ったりしない。粋がっているだけで根はいいやつらだと思っている。治郎は気が弱かったが、そんな連中と付き合うのは好きだった。
「止めた方が良いわ。あんな人達と付き合うの。河野君。あなたはあんな人達と違うわ。そうでしょ?絶対止めるべきよ」
 本当に大きなお世話だと思った。そして陽子にそんな風に思われていたと思うとがっかりした。彼は立ち上がると大股で図書室を後にした。しかし直ぐに図書室から出てきた事を後悔した。もう少し彼女と話していたかったなと思った。彼女の話の内容は不快だったけれど、彼女自体は不快じゃない。考えてみれば、俺の事を思ってあんな事を言ったんじゃないのかとも思った。俺は陽子の事が好きだ。彼は改めて思った。そして声に出して呟いた。
 治郎はその足で皆がグループと呼んでいる仲間がたむろしているジャズ喫茶(コルトレーン)に向かった。途中で上着を赤いジャケットに着替える。鞄は学校に置きっぱなし。
高校から15分程の所にコルトレーンはあった。コルトレーンはジャズ喫茶とは名ばかりの店で勿論、生演奏なんてなくて、かけるレコードもジャズばかりではなくポピュラーやロック、それに歌謡曲だった。
 治郎が店に入った時はピンク・フロイドの「狂気」がかかっていた。
「よう、治郎。こっち」洋一が声をかける方を見ると煙草の煙の中、洋一と純子、それに浩次がいた。三人とも指の間に煙草を挟んでいる。純子の爪はピンクに塗られている。
「何にする?」と純子。
「ブラック」
「どうした?浮かない顔して、何かあったのか?」浩次は煙草の煙で輪を作りながら言った。
「まあな」治郎は曖昧に答えながら席に着いた。
「向こうにいるのT高の奴らじゃないか?」治郎は洋一に小さな声で聞いた。
「ああ、あいつら、凄いワルらしい」洋一は小声で答えた。
「この前あった傷害事件、捕まっていないけど奴ららしい」
 治郎は暫く無言でコーヒーを飲んでいた。酷く苦く感じられた。「狂気」が唐突に大きく感じられた時、治郎は思い切って言った。
「俺、好きな子がいるんだ」
「へえ、だあれ」と純子がすかさず聞く。
「陽子」
「陽子?ああ、山本陽子ね」純子は考え込む様にしながら言った。
「あたし、あの子、好きじゃないわ」
「どうして?」
「だって、あの子、世界は私を中心に回ってるって感じで、いかにも自分は美人で秀才でございますって感じなんだもの。あたし、厭だわ」
「そうかな。そう思うかな?俺にはそうは、見えないけど」
 治郎たちが店を後にしたのはあたりがすっかり暗くなってからだった。

 次に日、学校で陽子が話かけてきた。
「ねえ、河野君、あれから何処行ったの?」
「何処だっていいだろう」
「そりょあ、そうだけど。私、昨日、ちょっと言い過ぎたかなと思って。ごめん」
「昨日の事は、もう良いんだ」治郎の心に今朝まであった、しこりの様な物がすっと無くなるのを感じた。
「俺も急に図書室から出て行ったりして悪かった」
それから陽子は周りの女生徒に話かけられ治郎との会話は打ち切られて形になった。
 治郎は嬉しかった。昨日の事でもう話してくれないのじゃないかと思っていたからだ。
 そんな二人の間を急速に接近させる事件が起きたのはそれから三日たった夕方だった。

(つづく)

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コメント

日向さん、こんばんは~^^

おぉっ新しい連載小説!と思ったら、二十歳で書かれた作品だったんですね♪
「少年たちの挽歌」タイトルがとても素敵です。また楽しく読ませていただきました(*^^*)

今回は恋愛物でしょうか?治郎の淡い恋心、何だか学生時代を思い出します~(笑)
今はすっかり図太くなっちゃったけど、好きな人の言動に顔を赤くした時期もあったなぁ…!
ピンク・フロイド懐かしいですね。子供の頃うちの父がよく聴いていました。
治郎と陽子の恋の行方は…?続きを楽しみに待っています~( ^ ^ )/
2010-05-31 Mon 19:39 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~
返事が遅くてすみません。

ちょっと、恥ずかしいのですがアップしてみることにしました。
恋愛もの・・・とはちょっと違うのですよ。かなり曖昧な作品です。
ピンク・フロイド かなり懐かしいですね。自分も大好きです。今も時々、聞きます。
また続き読んでくださいね。
2010-06-01 Tue 22:44 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
うわっ!なんか学校の雰囲気とか、授業中の様子とか、すごく懐かしく感じます。^^
この文章、瑞々しさがあって凄く好き。
いつもながら、その情景がすんなり頭の中に描けるので、とても読みやすくて、内容にもひきこまれます。^^

二人の急接近、とても気になるな~。
続き、すんごく楽しみにしてますよ~!!^^
2010-06-02 Wed 06:23 | URL | picchuko [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~(^o^)

わぁ~、今回はラブストーリーなんでしょうか…?
次郎の、陽子に対する恋心…何だか真っすぐな感じで、
いいですね~~♪
二人を急接近させる事件って何なんでしょう?
私的には、「挽歌」というのがすっごく気になるんですけど、
いろいろ想像を膨らませながら続きを待っていますね~(^o^)/
2010-06-02 Wed 18:36 | URL | miwa125 [ 編集 ]
picchukoさん
こんばんは~★ありがとうございます!!

凄く恥ずかしいです。でも読んでいただいて嬉しいです。
実は恋愛ものではないんです・・・続きも読んでくださいね。(*^_^*)
2010-06-02 Wed 22:12 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~★

そうなんですよ~。恋愛ものではない?のですよ。
この後・・・な展開?

また読んでいただければ嬉しいです。(*^_^*)
2010-06-02 Wed 22:13 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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