輝く断片のあつめかた

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「魔女のはかりごと 第2回」 日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

こんばんは~★

魔女のはかりごと 第2回をお届けいたします。
最低 週一回は連載していきたいです。



第1回



魔女のはかりごと 第2回

 人は同じ人、同じもの、同じ事柄をみても受け取り方が違う。同じ事をみても感じ方が違うのだ。見え方が違う。

 量子と空子は同じクラス一年二組に机を並べる事になった。担任は英語の堀先生だった。
堀先生はまだ若く、教員歴も四年目だった。

 四月も終わりの頃、クラスの男子生徒が通学中、事故に会い入院した。クラスでは見舞に行く事になって、一人、百円づつ集めて、見舞をすることになった。会計係の本田が集金していたのだが、そのお金が紛失するという事件が起きた。

 堀は教壇にたち教室を見回した。
「昨日、K君のお見舞いに行くために集めていたお金がなくなったそうです」気の弱い本田は俯いている。
「私はお金を集めている事は知りませんでした。クラスの皆さんが決めた事でしょうから、その事についてとやかく言うつもりはありません。しかし、そのお金が無くなったという事については、ほっておく訳にはいきません。三十人で三千円というそんなに高額ではない金額ですが多い少ないの問題ではありません。このクラスの中に盗った人がいるのなら、白状しなさい」

 ハカリは堀先生をじっと見た。胸のあたりに丸く魂が見える。堀先生がクラスの一人一人を見回す。本田さんを見ているとき、魂は見下している様に黒くとげとげに変化した。
 そして量子の目を見たとき、その魂は律動したように見えた。ハカリにはその動きが憎悪から来る事を知っていた。

 量子のこの魂を見る事ができる能力には小学校二年生の時、病弱の母が亡くなる少し前、入院中、見舞に行った時に気がついた。母は意識混濁していて、うわ言の様にしか喋れない状態だった。体力もすっかり衰えていて、子供の量子から見てももう長くはないと悟られた。
 集中治療室の母のベットの横、丸椅子にすわり量子は母の手を握った。虚ろな目を向ける母。
「お母さん」震える声で量子は母を呼ぶ。しかし母は返事をしない。手を強く握っても、その握力が強くなることもない。母の体につながれた心電計は弱い信号を繰り返している。
「お母さん・・・量子をおいていかないで」母の耳に口を近付けて、小学生の量子が言う。
初めは涙に滲んだ目に蛍光灯の灯りが映っているのかと思った。

 掛け布団に隠れた母の首から少ししたのあたりに何か白い丸いものが風船のように大きくなったり、小さくなったりしているのが見えた。ああ、これは母だなと量子は思った。
 喋れないから、別の方法で幼い量子に何かを伝えたいのだなと思った。その時、心電計から異常を知らせる警報が鳴った。看護師さんが直ぐに駆けつけてくる。白い丸い風船は量子に囁く。

(量子、ごめんね。お母さんは量子に何も残せない。もっともっと生きたかった。そして量子と暮らしたかった。量子、幸せになってね。お母さんがいなくても強く生きてね。
人を守るくらい強くなってね。簡単にあきらめる子にはならないで・・・量子。お母さんは量子を生んで幸せだったよ)白い風船はそう告げていた。そしてその風船は萎んでいくように小さくなった。

 医師と看護師が慌てて、母のベットを手術室に移動していく。看護師が父に何か告げる。
父の体が細かく震えるのがわかる。ああ、お父さんの胸にも白い丸い風船がある。その風船が今は激しく震えている。今は見える。量子は父の体にしがみつきその風船を見つめた。
その先に父の顔が見える。手を伸ばしその父の風船に触る。手は素通りしてしまう。しかし、何か温かい。

 翌日、母は死んだ。量子が魂を見る事ができるようになったのはその時からだった。
感情を丸出しにしているときははっきり見えた。普段から、活動的な人の魂も良く見える。
大人しい人でも強い魂の人もいる。逆に普段は直ぐ怒ったり、威張っている人でも弱弱しい人もいる。量子は小学校、中学校と様々な生徒、先生の魂を見てきた。そして魂からその人の性格や人格を読みとれる様になった。まだ成長過程の量子だったが魂を見る能力のせいか、周りの生徒よりはるかに大人びた生徒になっていった。量子はその能力を誰にも教えなかった。父にも話してない。

 その過程で量子は人間に絶望した。多くの人間には内と外があることが分かったから。顔では心底、母を失った量子に同情している様に見えた。しかし魂からうったえてくるものは自分を心配する事や早く帰りたい言うような日常の事ばかりだった。世界は表層的な飾りだけで中身はなんて薄っぺらなんだろう。そこには空洞があるだけの様に見えた。量子は積極的に自分の能力を活かそうとは思わなくなっていった。

 そして高校一年になり、堀先生と会い、それ以上に友人、空子を得た。

 (つづく)   

3回へ

***************************************************************************
 
今回も読んでいただきありがとうございました。

魂ってあるのでしょうか?

動物にも草木にもあるのでしょうか?

心と魂とは違うのでしょうか・・・虹子の物語も同じ事を書いている様な気もします。

次回も是非読んで、そして是非感想を聞かせてくださいね。


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創作 | コメント:10 | トラックバック:0 |
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コメント

あることを思い出しました。
思い出すというより、違う内容なのに、まさにタイムリーな内容と感じたのです。

私が中学一年生の時の担任が国語のM先生でした。
当時、私自身が不安定な頃で、それまで口数の少ない大人しい少女だった私が、段々と自我が芽生え クラスで目立つ少女に変わった頃です。
そして、それまで国語が最も苦手だった私にも関わらず、特別に贔屓してくれたのか、授業中 ことあるごとに私を指し、知らず知らずに国語の点数も上がり、先生に教わるようになって半年後、苦手だった国語で学年でトップの成績を収めることができたのです。
そして、唯一 私が人に自慢できるペン習字の検定の為に万年筆までプレゼントして下さいました。

中学を卒業してから先生にお会いすることはなかったけれど、M先生のおかげで国語が好きになれ、こうやってブログを書くほど文章に対して楽しさが分かるようになったんだなって喜んでいました。

つい先日、私は真夜中に目が覚めて、激しい動悸に見舞われました。
通常の脈拍数の倍くらいになり、苦しくて苦しくてたまりませんでした。
その時、ふと学生時代、M先生が「僕の心臓が弱くてね、一分間に200回も鼓動を打つ時があるんだ」と話してくれたのを思い出しました。
私は苦しみながら、その時の先生を思い出し、きっと先生も同じように苦しかったんだなって初めて感じたんです。

そして、それから二日後、新聞のお悔やみの欄に、まだ54歳のM先生の名前を見つけました。
先生が旅だったのは、私が苦しんでいた時間と重なっていたのです。

そして、この日向さんの作品を読みながら、魂ってきっとあるんだな、目には見えなくても違った見え方をするかもしれないなって思いました。
私事の上に、ヘンテコなコメントでごめんなさい。。。
2010-02-21 Sun 23:05 | URL | picchuko [ 編集 ]
事件発生ですね!
これから、どんな展開が待ち受けているんでしょう?
ワクワクします。p(^O^)q
2010-02-21 Sun 23:32 | URL | カトミノ [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~^^
第2回、とても面白く読ませていただきました!!

ハカリの過去のお話ですね。
辛い出来事を経験してきた子って、どこか達観している感じがしますよね。
ハカリのように、幼い時期に親を亡くした子は、
無邪気な同年代の子供達に比べると余計に大人びて見えるのかもしれませんね…(><)

人間の魂の重さは21g、という俗説がありますよねぇ。
nanacoは映画で知ったのですが、確かアメリカの医師が魂の重さを計る実験をしたとか…
きっと、どんなものにも魂はあるのだと思います。

魂が見えるハカリ、そして先生はどうしてハカリに憎悪を抱いているんだろう。。。
ますます続きが気になってきました!!早く第3回が読みたいです~(*^^*)
2010-02-22 Mon 21:14 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
picchukoさん
こんばんは~★

なんとも不思議な体験ですね。普段、離れていても繋がっている人っているのでしょうね。そして何かの時に信号を送ってくる。

きっと先生もpicchukoさん の事をずっと気にかけてくださっていたのだと思います。お互いを思いやっていると奇蹟の様な事が起きるのかもしれません。
2010-02-22 Mon 22:22 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
カトミノさん
こんばんは~

コメントありがとうございます。

さて、これからどんな展開にしましょう・・・
考えてます、暫くお待ちくださいね。
2010-02-22 Mon 22:24 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★
ありがとうございます。

いろいろ考えてるので、また読んでくださいね。

魂を量った話、知ってますよ、確か新潮文庫から出てました。自分は未読ですが、立ち読みした覚えがあります。

3回もそんな間を空けずに書きますね。また宜しくおねがいいたします。
2010-02-22 Mon 22:27 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
お久しぶりです!
「虹子の物語」も最後まで読ませていただきました。悲しいことになってしまいましたが、日向さんは、ちゃんと救いも用意していてくれたんですね。
また、新しい物語にも二人が出てきたのは、嬉しい驚きでした。
そして、今回の主人公の魂を見ることができるという不思議な能力。とても興味をひかれます。人間とは、魂とは、と考えてしまいます。
登場人物の名前も、話のタイトルも、とても素敵ですね。次を読ませていただくのが楽しみです♪
2010-02-23 Tue 16:58 | URL | samiado [ 編集 ]
こんばんは~♪
ハカリ…過去に悲しい出来事を経験してたんですねぇ(T_T)
魂が見えるようになったことで人間に絶望したというのは、
何だか、すごく理解できるような気がしました。
確かに、人間って、大人になると内と外を使い分けますもんねぇ(><)
私も、動物や草木にも、魂や心はあると思います(*^_^*)
TVで話ができるという人を観たこともあるんですけど…
ホントは、誰でも動物や植物と話ができるのが理想ですよね!?(^^)
続きを楽しみにしていま~す(^^)/
2010-02-23 Tue 18:36 | URL | miwa125 [ 編集 ]
samiadoさん
こんばんは~★
ご無沙汰しております。

読んでいただきありがとうございます。
虹子の第二部は悩みました。果たしてあの展開で良かったのでしょうか・・・。アルフ(ヒロ)には今後も登場してもらうつもりです。

今回のハカリの話もよかったら、読んでくださいね。
2010-02-24 Wed 00:01 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~★

ありがとうございます。

魂とは、こころとは・・・考えると考える程不思議です。草や木にも魂があれば素敵ですね。(*^_^*)
今後どんな展開になるかまだわかりませんがまた読んでくださいね。
2010-02-24 Wed 00:04 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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