輝く断片のあつめかた

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「虹子の物語第2部 卒業」第20回 「連載小説を書いてみようv(41975)」

こんにちは~

20回目です。
前口上は今回はしません。




 虹子の物語 第20回

 紫の車に乗り込もうとすると、アルフもついてきた。紅葉が慌てて抱き上げた。影が蔽う夜の道を車は走った。丘の上公園の駐車場の方に右折した。向こうから車が来る。すれ違う。黒い車だった。すれ違いざま、運転手をちらっと見ると、運転席に男性、助手席には女性が乗っている様だった。斎藤とヒロの母親ではないのか。

 「今の車、ヒロ君の母親と斎藤がのってたわ、きっとそう。追いかける?」
 しかし、今はヒロの方が心配だった。虫たちのざわめきがますます強くなる感覚が紅葉と紫にはわかる。きっとヒロは虫たちの近くにいる。虫たちの様子からはヒロの状況はわからない。
 「今はヒロ君の方が大事だから、神社へとにかく急ごう」紅葉は言った。

 丘の上公園の駐車場に車を止める。秋も深まり、車のドアを開けたとたん冷気が頬をさした。それぞれが懐中電灯を手に神社へと向かう。アルフは紅葉の腕の中、心配そうにしている。虫たちの気配はますます強くなる。ここにきて虹子に虫たちのざわめいている様子が伝わってきた。
「ヒロ君・・・」夜の遊歩道を三人は足早に登っていく。懐中電灯に木々の、虫食いの葉の影が揺れ動く。細くなった三日月の頼りない光がかろうじて夜を照らすが足元も闇の中。
 進んで行くほどに不安はつのる。体内の蜘蛛が虫たちのざわめきに呼応して蠢く。

 丘の上公園を過ぎ、神社を通り越す。かって紅葉が虹子を捕え、蜘蛛の真実を伝えた場所、神社の裏手に来た。そこには依然そのまま、紅葉の掘った落とし穴があった。あれから、人が落ちないように頑丈な板を引いて土、葉で蔽ってあった。その板が無くなっていた。
 虫たちにざわめきはその穴の中からが一番強かった。懐中電灯の光をあて上から覗いてみてがよくわからなかった。アルフが紅葉から離れ穴に飛び込んだ。直ぐに吠える声が聞こえる。虫たちのざわめきが一段と高まる。湿った落ち葉が穴の中に落ちていく。

 紅葉は近くの太い木にロープを縛るとゆっくり穴を降りて行った。底には直ぐに着いた。
慎重に懐中電灯の光で底を照らす。紅葉は言葉を飲み込んだ。

「・・・・・・・・・・」目の前の情景が滲んでいく。ゆらゆらと滲んでいく。そこには無残な姿で横たわるヒロの姿があった。涙はいつの間にか大粒になって地面に落ちた。
蟲たちが涙を避ける様に散っていく。ヒロの体を覆っていた蟲も今はいない。

 穴の上にいる虹子と紫もほぼ同時にヒロの姿を紅葉の蜘蛛から知った。二人は無言で互いを見た。

「ああ・・・・ヒロ君を救えなかった」「何故、何故・・・」世界が暗転したかのような絶望感が三人を襲った。


・・・・・つづく・・・・・



話を作るって難しいです。
幸せな展開も考えましたが、それでは物語の深みがすくなくなるのではと悩んで、このような展開にしました。賛否あるかと思います。感想教えてください。m(__)m

次回で最終回の予定ですが、場合によっては何回か続くかもしれません。
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コメント

こんばんは!
読み進める間に、実際に虫たちのざわめきを感じたような気がしました。私の頭の中にも、「何故?」という言葉しか浮かんできません。楽しそうだった学園祭の様子を思い出して、つらいです。あのとき吠え続けていたアルフには、何が起こるかわかっていたんでしょうか?
2010-02-06 Sat 22:05 | URL | samiado [ 編集 ]
日向さん、こんにちは☆
あぁ…なんだか、何も言えない気分です…
なんだかんだあってもヒロ君は幸せになるもんだと思ってました。
というか幸せになってほしかったんですよ…。
わたしも「何故?」ばっかり頭に浮かびます。
これから虹子や紅葉たちがどうするのかが気になります。
最終回、なにか希望のような見えると救われます…。
2010-02-07 Sun 11:40 | URL | まる811 [ 編集 ]
samiadoさん
こんにちは~☆

コメントありがとうございます。
裏切るような展開でちょっと申し訳ないのですが・・
次回でちょっとした仕掛けを考えています。
また是非、読んでくださいね。ありがとうございます。
2010-02-07 Sun 13:24 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
まる811さん
こんにちは~☆
感想ありがとうございます。

このような展開にしてすみません。
実はちょっとした趣向を考えていてそれにはこの展開が必要でした。
でも、別の幸せになって続く方も、捨てがたく、悔いが残りそう・・・
次回も宜しくお願いします。m(__)m
2010-02-07 Sun 13:27 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~^^

あぁっ…最悪の事態になってしまいましたね…
前回の学園祭がとても幸せなエピソードだっただけに、この落差は辛いです~(T_T)
勿論ヒロ君には生きていて欲しかったけれど、あの状態のまま虐待を続けられるのも……
物語を考えるのって本当に難しいですねぇ。
ハッピーエンドにしたくても、どうしてもそこにもっていけないという気もして(><)

ヒロ君には来世で幸せになってほしいです。
次生まれ変わる時には、紅葉と虹子達の仲間に…!!
それにしてもアルフもさぞや悲しんでいることでしょう…
アルフは賢い子だから、ヒロ君が死んでしまったのも理解しているでしょうねぇ(泣)
最終回、どんなラストを迎えるのか…早く読みたいです!
2010-02-07 Sun 19:21 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんにちは~★
返事がおそくなり申し訳ありませんでした。

感想ありがとうございます!!
この展開、書いていて辛かったのですが、悩んでこうしました。
この後ちょっとした展開を考えています。もう少し待ってくださいね。m(__)m
2010-02-08 Mon 17:30 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
こんばんは~♪

うぅ…最悪の結果になっちゃったんですねぇ(T_T)
学園祭の楽しげなヒロくんの姿を思い浮かべると、
涙が止まらなくなりそう…(><)
ただただ斎藤と母親が憎いです!!
ヒロくんには、生まれ変わった来世で幸せになってほしいです!!!!!
何だかやりきれない気分で、コメントがまとまってなくてごめんなさい<m(__)m>
2010-02-08 Mon 18:26 | URL | miwa125 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~

なんか裏切った展開にしてしまい申し訳ありません。
悔んでます。別の終わり方もありますものね。

最終回をたった今アップしました。また読んでくださいね。宜しくお願い致します。
2010-02-08 Mon 21:27 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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