輝く断片のあつめかた

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

「ほんとうの世界 第2回」 「連載小説を書いてみようv(41975)」

皆さんこんばんは~★

ほんとうの世界の2回目です。

面白いと言っていただけて、凄く嬉しいです。

今回も皆さんを混乱させる様な謎がでてきます。
是非、感想を教えてくださいね。

次は虹子の物語の9回目を書きたいと思ってます。
しばらく順番にやろうと思ってます。

宜しくお願いしますね。



ほんとうの世界 2回目

 奈緒の事を確かめる方法を思いついた。午後、奈緒を連れて近所の商店街に行くことにしたのだ。週に何度かは、買い物に通っていたので、店の人の反応で何かわかるのではと思ったのだ。
 近所の買い物に奈緒と二人で行った事はなかった。この胸の中の不安がなければ、楽しい経験だったろう。生前の奈緒はどんな店のどんな人とどんな会話をしていたのだろうか。そんな事も自分は知らない。

 「奈緒、買い物に行かないか?近所の商店街に一緒にどう?」
 「あなたが一緒に行くなんて初めてじゃない?夕飯の買い物なんて恥ずかしくて行けないなんていってたくせに」
 「今までの事は謝るよ。奈緒と一緒にいたいんだ、君一人で買い物にやって、そのまま居なくなってしまうんじゃないかと心配なんだ」
 「変な人?私が居なくなるなんてある訳ないでしょ?」

 突然、疑問が湧いた。奈緒は自分自身が死んで、そして蘇ったことを知っているのか?朝、(ありのままを受け入れてと)と自分を誘ったのは、蘇ってきた事をいっているのか、それとも、睦言を言ったのか。聞きたい。聞きたいけれども、聞いた結果、恐ろしい事が起こる様な気がした。知らず、体が震えてきた。もし奈緒は一度死んで、帰ってきたんだよと教えたら、体が腐って崩れてしまうんじゃないか。それとも、その瞬間、煙の様に消えてしまうのではないのか。ああ、僕の奈緒、君は奈緒なのか。奈緒の手を握る。背中に手をまわし、抱きよせ、唇を重ねる。暖かい。体温を感じる。心臓の鼓動が伝わってくる。

 「苦しいわ」いつの間にか抱きしめる力が強すぎたようだった。奈緒が自分の手をとり離れた。そして自分を見つめる。今の考えを見透かされている様で恐い。

 奈緒のいる世界といない世界。いない世界なんて、なんの価値もない。そう思う。奈緒を失ってから、私は創造的な活動は何も出来ず、会社にいっても単純な事務仕事しかしていない。それを誰も何も言わずにいてくれる。それは今の私の境遇をみんなが労わっていてくれているからだと思っていた。しかし、もし奈緒が死んでいなくて、皆も奈緒が生きていると知っているとすると、状況は、まるっきり変わる。それは労わりではなく、態の良い無視だ。

 世界はその人に隷属する。その人の見える範囲、関係する範囲がその人の世界。人により世界の大きさ、深さ、広さが異なる。それは自明のことだと思う。テレビの向こうの世界なんて虚像だ。なぜなら、映された世界自体が選択されたものだから。フレームの外側が、映画のセットを支える骨組と違うと誰が断言できるのだ。いつの頃か、私はテレビを見る事を止めてしまった。あんな物を見ている人たちの気がしれない。全てバイアスのかかった映像を見て、時に笑い、時に泣き、時に怒り・・・・・しかしそれはテレビの向こう側で操作されたものに期待どうりの反応をしているだけのことにすぎないのではないのか。

 以前こんな事を考えた。そしてこの奈緒の蘇った世界が、誰かが操作した結果だったとしたら、または、それ以前が操作されていた世界だったとしたら。

 こんな事を考えるのが異常なのだろうか?

 家でて商店街に向かう。奈緒は私と手を繋ごうとするのだが、あまりに恥ずかしく人前で手を握る事が出来なかった。娘位の歳の差があるのだ。私は実際より歳に見られがちで奈緒はその逆。そんな二人が手を繋いで歩いていて、どんな誤解をされるか考えるだけでも厭になる。だから並んで歩いた。こんな事を気にしている自分が可笑しかった。

 そもそも、奈緒と結婚したのは、前の妻と別れ、その娘ナオと二人暮らしをして、病気で死に別れた事が大きな理由だった。ナオに生き写しの奈緒と出会った瞬間に奈緒に求婚していた。あの時の世間の目は冷たかったのを思い出す。常識外れ。自分のいない場所で囁かれていた事も知っている。だけど、自分は奈緒に幸せを誓い、奈緒も自分との幸せを望んでいた。だからこの結婚は間違ったものではなかったと自信を持っている。

 混乱した。今、横を歩いているのはナオなのか、奈緒なのか。奈緒と結婚してからナオの事は、記憶の中に収まっていた。しかし、奈緒が死んで、蘇ってきたのはナオの方ではないと自分は言えるのか?もしナオが生きていたら奈緒と同じくらいの歳の筈だった。

 自信がなかった。見分ける自信がなかった。横をあるく愛らしい女性が妻なのか?それとも娘なのか?

 眩暈がしてきた。

  つづく

ほんとうの世界3回へ
スポンサーサイト

創作 | コメント:6 | トラックバック:0 |
<<「ほんとうの世界 第3回」 「連載小説を書いてみようv(41975)」 | ホーム | ほんとうの世界 第一回 「連載小説を書いてみようv(41975)」>>

コメント

こんにちはー☆
わたしも眩暈がしてきました。笑
…むずかしいです。主人公の思考に捕らわれてしまったようです…
「世界はその人に隷属する。」の段落が好きです。
虹子のお話で書かれてた「世界は繋がり」だっていうのと似てますよね。
日向さんが書きたいのってこの部分なのかなぁと思いました。(違ったらゴメンナサイ!!
どんな決着がつくのか、すごく楽しみです。
2009-11-10 Tue 13:11 | URL | まる811 [ 編集 ]
日向さん、こんばんは~♪
おぉ、なんだか凄い事になってきましたねぇ。
ナオと奈緒…名前が一緒なのは単なる偶然なのか、
それに奈緒が生前のナオに生き写しなのも…それも偶然なのか???
もしかして「僕」の頭の中こそが操作されたものなのか…とか色々考えてしまいます(><)

街の人の反応はどうなんでしょう??
だんだんとSF色が強くなってきたようで続きが楽しみです♪
2009-11-10 Tue 20:52 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
まる811さん
こんばんは~★
感想嬉しいです。
今回のこのお話の目的のひとは読んでくれる人を混乱させること。名無しの主人公と一緒に悩んで、そしていま生きている世界だって、ひょっとしたら虚構なのでは・・・なんて思ってもらう事です。

続きもまた読んでくださいね。(*^_^*)
2009-11-10 Tue 22:49 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★
感想ありがとうございます。

謎はこれで出尽くしたつもり(ここまでしか考えてないのが本音)です。

これから主人公は悩みます。世界は信じるに足りるものなのか・・・それとも気にせずに何も考えずに二人で幸せになればいいのか・・

また考えますので読んでくださいね。(*^_^*)
2009-11-10 Tue 22:52 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
こんにちは。
またますます謎が深まってきましたね~。
年齢の離れた妻という設定の裏にこんな仕掛けがあったんですね。
相変わらず先は全く読めませんが、楽しみにしています。
2009-11-13 Fri 09:24 | URL | Alice [ 編集 ]
Aliceさん
おはようございます。
コメントありがとうございます。
実は最後をまだ決めていません。
悩みます・・・また読んでくださいね。
2009-11-14 Sat 10:11 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。