輝く断片のあつめかた

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ほんとうの世界 第一回 「連載小説を書いてみようv(41975)」

虹子の第2部がまだまだ終わってませんがちょっと思いついたので新シリーズを始めます。

5回以内で終了予定です。虹子の物語よりこちらが先におわるのではと思ってます。


また、感想教えてくださいね。



  ほんとうの世界 第一回

    1

「世界の真理を教えてあげましょう」突然、頭の中に響いてきたその言葉は今の自分にとって救いをもたらすものの様に思えた。

 場末の飲み屋で浴びるほど酒を飲んでいた。歳の離れた可愛い妻を亡くしてから私は蛻のカラだった。愛していた。それは世間から見れば、異常な愛なのかもしれないのはわかっていたけれど、亡くしてからの自分の空虚な時間を思うと自分にとって、奈緒は自分のすべてだったのがわかる。

 「愛とはなにか?」飲みすぎの頭に響く。頭をあげ真正面を見るともう何年も知っているかの様に初老の紳士が座っていた。
 「懐かしい気がするのだが。もし失礼な質問なら申し訳ないのですがあなたは何方ですか?」私は回るあたまをなんとかおさえて尋ねた。
 「古い友達ですよ」紳士が答える。すんなりと自分の中にその言葉が入ってくる。

 「今の世界はその構造の中に潜在的に争いを含んでいます。知っていますか?」奈緒どこにいるんだ。戻ってきてくれ。今の自分に世界も愛も意味はない。けれど、自分の古い友人である目の前の紳士の言葉は虚ろな魂に響いてくるようだった。

 「今の自由な世界は個人の力量に依存しています。力量の差がまあ、個性でもあります。しかしここに大きな落とし穴があるのは皆さんわかっていますね。今、誰もかれもが声だかに叫んでいる格差の事です。格差は不平等を生みます。しかし、これは皆の自由な世界が生み出したことなのはわかりますね?」

 「奈緒を帰してくれ!あの事故がなかったら・・・僕は奈緒を愛してていたんだ」私はテーブルに突っ伏してしまった。だからこれは夢なのだろう。この古い友人も自分の夢が見せる幻なのだろう。
 「まあ、落ち着いてください。あなたはすべての事象に意味があると思っていますね。すると奈緒さんの死にも意味があるはずですね?」
 もはや自分は答えられる状態ではなかった。酒場のテーブルに無様に伏せて、気を失っている飲んだくれ。

 「意味なんて・・・」呟く。
 「あまりに悲しい出来事があると人は立ち止まり、昨日までの事を思います。楽しかった事を。奈緒さんが過去のものになったと思っていますか?この答は大事なので良く考えてください。さあ奈緒さんは、過去の存在ですか?」この質問に何の意味があるのだ。朦朧とした意識のなかでそれでも、冷静に考えようとした。・・しかし、理性は戻ってこなかった。「奈緒は生きている」
 「あなたはこの世界を肯定するのですね」質問の意味がわからない。奈緒となんの関係があるのだ。
 「わかりました」と紳士が言った。そして自分は完全に気を失った。


 酒場の営業が終わった。いつの間にか古い友人はいない。お客さん、すみませんが店じまいですの声。なんとか清算して店を出る。

 家までは歩いて10分程かかった。マンションの3回。エレベーターを使わず、階段をのぼる。酔いも醒めるかと思ったのだ。
混乱する頭のなかでいつもの右ポケットから鍵を取り出す。鍵穴をやっと捉える。倒れこむ様に部屋に入った。

 「待っていたわ」誰だ、私を呼ぶのは。私はやっと思いで体を持ち上げる。台所にいるのは奈緒だった。ああっ奈緒、戻ってきてくれたんだね。死の淵から蘇ってきたんだね。酔った頭のなかで自分が囁く。酔った状態で理性はなかった。奈緒を思いきり抱きしめる。
奈緒は苦痛に顔をゆがめているがその顔さえ愛おしい。でも待てよ。奈緒は死んだ。するとこの腕の中の奈緒は誰だ。何も考えられない。すべて酒の見せる幻の所為にして、考える事をやめてしまった。奈緒のやわらかい胸の温かさに顔をうずめ、泣きながら眠りに着いた。

 朝、頭の中でズキズキと脈打つ。完全な二日酔いだった。とてもこのまま仕事に行けそうにない。昨日は・・・・奈緒。奈緒はベットの中、背中にまだいた。夢でも幻でもなかった。物体としてそこに存在している。大慌てでベットから這い出す。この状況をどう説明できるのだ。嬉しい。確かに奈緒が生き返ってくれたのなら嬉しい。嬉しいに違いないのだが、果たして、目の前の奈緒は今まで生きていた奈緒なのか?こうして酔いがさめ、理性が戻ってみると、単純に生き返った奈緒を受け入れる事ができない。あんなに愛していたのに、生き返ってみると直になれない。それは何故か?それは、自然の摂理に反する事が起こっているから。

 「考えないで。ありのままを受け入れて」奈緒が囁く。白い腕がからめてベットに戻そうとする。昨日は酒で朦朧としていて奈緒を抱いたのだが、素面のいま、奈緒を抱きしめる事ができるのか?

 そうだ、酒場であったあの初老の紳士にもう一度会えれば、一体、どうなっているのかが分かるのではないか?

 一日は長かった。あれ程、望んだ妻と一日いるのに、気は晴れなかった。この不可思議な現象の理由がわかれば悩む事もないのだろうに。しかし良く考えれば、理由なんて必要なのだろうか?見たところ妻は生前の妻と同じである、喋ってみても、過去を共有していることがわかり、何ら、おかしなところは見受けられない。この現実だけを受け入れる事で幸せな生活に戻れるならばそれで良いのではないのか。どこにいけない理由がある?また理由だ。理由を否定するのにも理由を見つけようとしている。つくづく自分が、自分の性格が、嫌になってします。自分と世界が同じものならば何も悩む事は存在しない。
そうだ、世界は自分と奈緒の二人だけ、あとの事はその世界を支えるための瑣末な事象にすぎないと仮定すればどうだろうか?歌にもあるじゃないか(世界は二人のために)真理はそこにあるのかも知れない。当事者同士が世界であり、あとはすべてその他・・・。

 思考はぐるぐる回る。酒に酔っている様に思考に酔う。しかし、いくら考えてみても、この現実は説明できない。奈緒は死んでいない。そうかもしれない。死んでしまったと自分が思っていただけ。奈緒の悪い冗談かもしれない。そうだ、そうに決まっている。それならば、この説明もつく。親戚や友人を巻き込んで、奈緒が自分をからかっているんだ。

 午後になり、二日酔いも収まってきた。

つづく

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創作 | コメント:8 | トラックバック:0 |
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コメント

日向さん、こんばんは~♪
おぉ、凄い…新シリーズですか!! すっごく面白く読ませていただきましたヽ(*^^*)ノ
死んだ人をあれほど望んでいたのに、いざ手に入れるとそれを疑ってしまう、、、
主人公の気持ちがすごくよく分かります。
自然の摂理が勝つのか、妻への感情が勝つのか、お話が予想できなくて面白いです♪
紳士がカギを握っているのかしら…続きが楽しみです。

>理由を否定するのにも理由を見つけようとしている。
なるほど~と、思わず納得してしまいました^^
2009-11-07 Sat 23:02 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
こんにちはー☆
うひゃぁ、面白い!2回読んでしまいました。
どんな展開になるのか、紳士が何者なのか、まったく予想がつかないです。
ぐるぐる思考して妥協できる仮定に落ち着いた主人公に対して、タイトルが「ほんとうの世界」…
なにやらものすごい落とし穴(?)がありそうな気がします。
続きを楽しみに待ってます~☆
2009-11-08 Sun 15:27 | URL | まる811 [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~★
読んでいただきありがとうございます。

世界のなりたち・・・・いつも考えてます。
世界っってちょっとした事でくずれてしまうのじゃないかって思います。

そんな事を思っていたら閃きました。

また読んでくださいね。
2009-11-08 Sun 18:02 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
まる811さん
こんばんは~☆
感想ありがとうございます。

真実って、世界ってなんでしょう?

そんな、漫然とした疑問を誰でも持っていると思うのです。そんな事を徒然考えていましたら、思いつきました。

例によって結末はまだ考えていません。
また是非読んでくださいね。
2009-11-08 Sun 18:05 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
日向さん、こんばんは。
作品、拝見させていただきました。
「古い友達」だという初老の紳士とは誰なのか、「世界の真理」って何なのか、先が全く予想できなくてドキドキしました。
ときどき、映画のトゥルーマンショーみたいに、自分の人生は虚構なのではないかと思ってしまうことがあるのですが、この小説を読んで、またそういった迷宮に陥りそうな感覚を覚えました。
続きが気になります。
2009-11-09 Mon 18:03 | URL | Alice [ 編集 ]
こんばんは~♪
わぁ~、新シリーズですか^^
虹子と紅葉のお話と違って、
何だか“大人の世界”という感じですねぇ(^^)
死んだ妻が蘇って目の前に現れた…
これって現実なのか幻なのか、
主人公の戸惑う気持ちが分かる気がします♪
紳士って、人間?、神様?、それとも…
真相が明かされるときがすごく楽しみです^^
虹子と紅葉の物語と同じく、
このシリーズも楽しみにしていますね(^^)/
2009-11-09 Mon 18:37 | URL | miwa125 [ 編集 ]
Aliceさん
こんばんは~

読んでいただけて嬉しいです。
ありがとうございます。

乱歩ではありませんが夜の夢こそまこと・・・
なんて事を考えてます。(*^_^*)

また読んでくださいね。
2009-11-09 Mon 23:22 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~
感想ありがとうございます。
嬉しいです。

まだまだとんでもない、状態になっていく予定でいます。

是非、是非、あきれないで読んでくださいね。
2009-11-09 Mon 23:24 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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