輝く断片のあつめかた

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「第8回 エントロピー 新世界の黄昏」 「連載小説を書いてみようv(41975)」

皆さんこんにちは~
エントロピー 新世界の黄昏の第8回目をお届けします。
少しづつですが、調子が戻ってきた様です。
このまま最後まで続けて行けたら良いのですが・・・ちょっと不安です。

応援宜しくお願い致します。

第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回

        
第8回
 
 3潜入(承前)

雨が降り続いている中を葛城が倒壊したビルの中を縫って歩く。数分おきに雷が光る。遅れて雷鳴が轟く。綾瀬と子供たちのいるビルに真っ直ぐ向かう。足元が悪い中、走る様に移動する。途中、瓦礫となった路地を迂回した。そしてなんとかビルに着いた。雷が光り入り口を照らす。ビル自体は無事な様だった。携帯端末を取り出しまだいるか再確認する。今度は2度目のアクセスで場所確認に成功する。通話回線は不通だった。3階にいる。
暗い階段を慎重に上っていく。3階には直ぐに着いた。ドアを開ける。一つ目のフロアにはいない。

 「綾瀬!いるか?葛城だ。居たら返事をしてくれ」

 帰ってくるのは雷の音だけだった。見落としのない様に次の部屋へ進む。地獄の様な探索が続く。四回目のドアを開けたとき、ハンドライトの光の中に横たわった女性の足が浮かび上がった。
 「綾瀬!」反応はない。何時もなら一緒に居る子供たちの姿は一人もない。
 近づき、顔を確認する。うつ伏せになったその顔を天井に向ける。綾瀬だった。ピクリとも動かない。

 嗚咽がこみ上げてくる。既に綾瀬の体は冷たく硬直していた。目だった外傷はなかったが、顔の表情が醜く歪んでいた。両手の爪は苦痛で床を掻き毟ったらしく剥れ血をながしていた。

 「ううっ、綾瀬、許してくれ。まだ時間があると思っていた俺は大馬鹿者だ」

強く抱きしめる。玉の様な涙がとめどなく両頬をながれ、綾瀬の顔に落ちる。
 「何があったんだ。誰が・・・・」

 その時奥のドアが音をたて開き始めた。葛城はオートマチックを取り出し、ドアにむけ、いつでも発砲できる様に身構えた。

 「葛城さん。いまからそちらに行くけど撃たないで」
 「誰だ」
 ドアを開け入ってきた人物に顔はなかった。
 「お前は!お前が綾瀬を殺したのか」
 「違う。私は逃げてきた」

葛城は拳銃を向けたま、もう一方の手でハンドライトをむけた。ドアの隙かからら滑り込む様に部屋に入ってくる。武器をもっていない証拠に両手を挙げている。葛城は綾瀬をゆっくり床に降ろし立ち上がった。その体形から女性だと分かる。顔のない女だった。拳銃で女に床に座る様うながす。女がゆっくりと床に座る。

 「逃げてきた?社会統制委員から逃げてきたと言うのか」
 「そう。彼らのやり方に疑問をおぼえてきたから」
 「やっぱりお前にも名前がないのか?」
 「社会統制委員に居る間はなかった。今の名前はヌル」
 「ふざけた名前だが無いよりましか。ここに出てきたのは説明する意志があるということだな?」

 ヌルはぽつり、ぽつりと過去を語り始めた。長い話だった。
 
自分を意識し始めた時、自分は社会統制委員としてだった。幼い日々の記憶はない。自分の記憶はここ2年とたっていなかった。最初の3ヶ月ほどは生命維持カプセルの中で過ごした。

 カプセルの外で白衣を着た女性博士が誰かに報告しているのが微かに聞こえる。
 「生命反応および意識レベルがαまで上昇しました。治癒能力も人間レベルの一万倍まであがっています。前人格の消去完了。計画通りです。予定通り、次のエディケーション・プログラム(教育プログラム)に進みます」
 次に意識が戻ったのは半年後だった。傾斜し垂直になったカプセルの扉が小さな空気が抜ける様な音をたて開いた。
 意識の中で焦点を調整する。

 「お目覚めの気分はどうかね?」目の前に白衣の女性、その隣に男がいる。
 思わず悲鳴を上げた。顔がない!その男には顔が無かった。

 「何を驚いているのだ」微かに侮蔑が含んだ調子で男が言いながら横によけた。そのとたん背後にある、ステンレス状のカプセルの表面に写った自分が見えた。信じられなかった。鏡面に写った自分らしき姿、その顔に表情はなかった。表情ではない。目も眉も耳も鼻も無かった。唯一、一本線を引いた様な口があるんだけ。自分も顔がなくなっていた。

視角、聴覚を感じる目、耳、はなかったがのっぺりとした顔全体で見て聞くことができた。顔全体に視角器官と聴覚器官がミクロのサイズで埋まっているのだ。線を引いた様な口があるだけだった。

 「君にはこれから我々と一緒に働いて貰わなくてはならない。新たな世界の創造主となるためにね」

(続く)
第9回へ

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創作 | コメント:8 | トラックバック:0 |
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コメント

凄い本格的なSFになってきましたね!とても面白く読ませていただきました(><)
綾瀬…やっぱり助からなかったんですね(泣)
目立った外傷はない、という事は特殊な殺され方をしたんでしょうか…ブルブル。

そして今回登場した生命維持カプセル!どんなカプセルなんだろう…とあれこれ想像しました。
本当に、全く人間とはかけ離れた存在に変えてしまうんですねぇ。
今まで「顔のない人間」って抽象的な意味かと思っていたんですが、
文字通り、目鼻がない人間なんですね。しかもそれがミクロサイズで埋まっているとは…!!
凄いアイデアですねぇ、面白いです。

続きが早く読みたいです~!!(*^^*)
2009-09-06 Sun 21:30 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
nanaco☆さん
こんばんは~
感想ありがとうございます!
今まで顔の無い男の詳しい描写をしてこなかったのはあまり考えてなかったから・・・(なんていいかげん)です。(*^_^*)

のっぺらぼうみたいなイメージです。
それの意味するものは・・・と色々想像を膨らませています。

また読んでくださいね。
2009-09-06 Sun 22:58 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
すいません。
まだ第6回までしか読んでいません。(^^;

もう一度、最初から読み直します。○┓(ペコ)
2009-09-07 Mon 00:10 | URL | カトミノ [ 編集 ]
こんにちはー☆
思わず前のめりになって読んでいました。
日向さん、すごいですっ!
わたしも「顔のない」は比喩的な表現だと思ってました。
まさかミクロサイズで埋まってるとは…
それにしてもどうして顔がないんでしょう?表情を読み取られないため?それとも…?
ヌルの話の続きが気になります!
2009-09-07 Mon 14:39 | URL | まる811 [ 編集 ]
カトミノさん
こんばんは~
ゆっくり読んでくださいね。
どんな感想を持たれるか凄く楽しみでもあり、怖くもあります。
楽しみにしてますね。(*^_^*)
2009-09-07 Mon 22:41 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
まる811さん
こんばんは~
感想ありがとうございます。
そんな、真剣に読んでもらうと緊張します。
顔のない男についてはいままで手を抜いて描写してきたのですが、先を考える上でとうとう必要になってきました。そこでこんなんになりました(*^_^*)
ヌルの続きの話で核心にすこし近付きます??
また応援お願いしますね。
2009-09-07 Mon 22:44 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
こんばんは~♪

わぁ~、綾瀬、本当に死んじゃったんでしょうか…!?
何だかショックですねぇ(T_T)
生命復活カプセルとかがあればいいのに…。

器官がミクロサイズで埋ってるって…何だかすごく
SFっぽくていいですね~♪
とっても想像力をかきたてられます(*^_^*)
第9回の展開も、楽しみにしていますね(^^)/
2009-09-08 Tue 18:34 | URL | miwa125 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは~☆
感想ありがとうございます。
SFです。ばりばりSFのつもりですが・・(笑)
続きがんばりますね~また読んでくださいね。
2009-09-08 Tue 21:14 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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