輝く断片のあつめかた

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「第3回 エントロピー 新世界の黄昏」

第3回をお届けいたします。

話を広げすぎてしまうかも・・・・・ちょっと不安です。

感想お待ちしてます。



第3回 エントロピー 新世界の黄昏  (開幕 承前)

 派手な原色のネオンがトンネル状につづている。変わらないな。背おった荷物が肩に食い込む。 地下に移っただけで人間のやることは変わらないな。葛城は黙々とあるく。派手な化粧の女たちが葛城に声をかけるがその暗い目をみた瞬間、黙って離れていく。今は遊んでいる場合ではないのだ。
 何も考えないでいる場合ではない。人間の尊厳が失われようとしているのに変わらず営まれる日々。無理もないかも知れない。しかし、葛城には黙ってその日を迎える事はできなかった。

 あの国民投票の前の事を考えた。

 ”あの時、あらゆる情報メディアは現状の犯罪の多さ、地表から地下、空中都市への移住による混乱に乗じた強奪の多発を伝えた。スーパーやコンビニエンスストアのガラスが破られる映像が何度となく流された。”
 {暴力に暴力で対抗してはいけません。落ち着いて行動してください}知的な顔をした女性アナウンサーが訴えている。
 こう言った正論は始末が悪い。暴力はいけない、争いはいけない。これに反対しようものなら、暴力を肯定するのかと糾弾される。ガンジーの無抵抗主義は、確かにすばらしく尊重しなければならない。しかし、普通の殆どの人々には難しい。よほどの信念がなければ。

 犯罪者および潜在的犯罪者への医療的処置による無害化
具体的にはナノマシンによる、脳のある場所にある暴力発動因子の破壊である。
その効果は絶大である。悪魔がまるで天使に生まれ変わった様になってしまう。がそれと同時に意欲と想像力が著しく低下する。与えられた仕事をこなすのは支障がない。しかしそれ以上の事は自分から行う事はなくなってしまうのだ。

犯罪者、および潜在的犯罪者の検挙は社会統制委員が行う事ができるのだ。葛城はごめんだった。

 強化ガラスの天井をもつ広場に着いた。雷光で照明が明滅する広場をあるく。雷鳴は聞こえない。シャトルが空中都市に向かって飛行しているのが小さく確認できた。顔のない男が乗っているのかもしれないと考えた。

 地表との出入り口にはゲートが作られつつあった。完成すれば強固なガードシステムが備えられる筈だ。今はまだ進められる行為ではないが地表にでるのは比較的容易だ。
 但し、突然の豪雨と落雷は防ぎようがなく、地下生活に慣れきってしまった人々には命をすてに行く様なものだった。

 ひときり、地表都市に残された財産や機器をもちかえるトレジャーハンターもどきの人々が暗躍していたが地表との行き来の制限があと一か月となりすっかり、なりをひそめてきた。 地表との出入り口にビデオカメラによる記録装置が備えられたのも大きい。
 
 葛城は地表への出口のひとつへ向かった。巨大な扉の枠が出来上がっていたが、扉はまだつけられていない。上空で無数の電子カメラが冷たく光っている。エレベーターもあるのだが閉じ込められる危険を冒す気はなかった。長い折り返しの階段を昇って行く。地表についた。
 とたんに雷のドンという音が響く。完全防水のブーツも効き目はなくすぐずぶぬれになる。葛城は地表にでて、一時間ちかく歩いた。まっすぐとある一つのビルに向かう。

 ドアをあける
「綾瀬、いるか?葛城だ」奥の部屋から綾瀬由美がゆっくりあらわれる。
「まだ、地下に来る気はないのか?」
「この子たちを置いて行く気はないわ」由美の影に数人の子供たちがいた。親もなく、たよれる人もいない。落雷孤児たち。こんな子が地表には無数にいる。由美はそんな子を守っている一人だった。
「あと一か月で、支援もできなくなる」葛城は背おっていた荷から保存食糧を渡しながら云う。

「お姉ちゃん、私たちどうなるの?」由美の服の裾をひっぱり小さな女の子が小さな声で聞く。「大丈夫よ。ミーちゃん。心配しなくていいのよ」雷鳴が轟き、子供たちは耳をふさぐ。
 その時、雷ではない大きな音が響いた。葛城が壊れた窓から覗くと外を巨大な水陸両用の装甲車が進んでいくが見えた。機械の様な声でスピーカーががなり立てる。
 
 警告します。地表にはあと一か月で住むことができなくなります。速やかに保護施設まで避難してください。繰り返します。速やかに保護施設まで避難してください。

 葛城にはその声が地獄からの声の様に聞こえ、体が震えた。

 (つづく)

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創作 | コメント:6 | トラックバック:0 |
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コメント

こんにちはー☆
どんな展開になるのか、これから何が起きるのか、回を増すごとにドキドキします…
これが10回位で終わってしまうなんて…もっと読んでいたいです、日向さん!
2009-06-30 Tue 17:28 | URL | まる811 [ 編集 ]
だんだんとこの世界の背景の様子が分かってきました!!
凄い世界ですね…常に電子カメラで監視されている世界、暴力発動因子の破壊…
よくこんな設定を思いつくなぁ、と感心しちゃいました。
確かに暴力に暴力で対抗するのは良い事だとは思わないけれど、
常に管理された社会は、人間の個性までもが均一化してしまう気がしますよねぇ…(><)
1ヵ月後の地表はどんな事になっているのか、続きがすごく気になります!!
日向さん、この作品是非とも長編にしてください~……
2009-06-30 Tue 22:28 | URL | nanaco☆ [ 編集 ]
こんばんは~♪

少しずつ、この世界のことが
明らかになってきましたね^^
徹底的に暴力や犯罪者を排除しようとする世界…
すごい世界観に圧倒されてしまいました(><)
人間が人間でなくなるみたいで、
ちょっと怖いですねぇ^^;
10回と言わず、出来るだけ長く続けて
連載してもらいたいです~(^^)
2009-07-01 Wed 18:38 | URL | miwa125 [ 編集 ]
まる811さん
コメントありがとうございます。
返事が遅くなってごめんなさい。

応援、嬉しいです。できるだけ長く続けられる様頑張ってみますね。
2009-07-01 Wed 21:59 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
nanaco☆さん
返事がおそくてごめんなさいm(__)m

嬉しいコメントありがとうございます。
出来る限り、続けますね。(*^_^*)

色々考え中です。
2009-07-01 Wed 22:00 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]
miwa125さん
こんばんは!!
コメントありがとうございます。

皆さんが長く続けてといってくれて凄くうれしいです。

頑張って、なが~く、続けられる様、考えてみます。(*^_^*)
2009-07-01 Wed 22:02 | URL | 日向 永遠 [ 編集 ]

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