輝く断片のあつめかた

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掌編「砂浜に寝そべって僕たちの行く末を考えていると夜空に星が流れた」日向永遠

 皆さんこんばんは~★

 読書があまり進まないので、また掌編です^^

これは 以前、書きました「少年たちの挽歌」より前に書いた作品です。

例によって意味不明な内容となっております。

良かったら感想、聞かせてくださいね。

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「砂浜に寝そべって僕たちの行く末を考えていると夜空に星が流れた」日向永遠

 一匹のモンシロチョウが強風を避け翅を休めている木陰に僕たちは佇んでいた。僕たちミッチとサクラとイチロウ、そして僕だ・・・は思い思いの格好でくつろいでいた。
「あっ、ひばり!」ミッチが叫ぶ様に言い、そして指さした先をみると、そこに黒い点のようにひばりが見えた。
「ただのひばりさ」僕は言った。これで新しい話題が出来たわけだ。僕たちはさっきから話が尽きてしまっていて四人とも気まずい感じだったのだ。
「でも見て、ぜんぜん前に進んでないじゃないの。あのひばり」とサクラ。見ると本当にそうだった。一生懸命、羽ばたいているのが分かるのに前に進むどころか、後退さえしていた。
「可哀想・・」とミッチ。すると今まで煙草をぷかぷかしていたイチロウが言った。
「可哀想?そんな事はない。あのひばりは、いま、一生懸命、強風に逆らって飛んでいる。飛ぶ空がある奴はいい、例えそこに強風が吹いていてもだ。可哀想なのはあのひばりを見ている事しかできない俺達さ」
「それさ!僕たちはこらから飛ぶ空を探しに行こう」僕は叫んだ。
「そうさ、僕らはあてのない旅人さ」とイチロウ。
「それより・・・」とサクラ「あたし、お腹がすいたわ」
   ★
 僕たちは町に着いた。イチロウとサクラはガラクタから作った置物やブローチ、ネックレスや人形を地面にひいたシートに並べ売る事にした。今日はその一日目。
 僕とミッチは町をぶらぶらと歩いていた。一日交代で店番をする事にしたのだ。だから僕とミッチは今日は休業日。
 僕たち二人は色々な店をみて回った。もちろんお金を持っているわけではないから買うわけじゃない。
「ねえ、あれなんか素敵じゃない?」
「うん・・・君なら似合うんじゃないかな」そんな事を話しながら僕らは歩いた。たわいのない遊び。
「ねえ、あたしたちこうやっていると恋人に見えるかしら」
「見えるかもな」僕はドキドキしながら言った。
 僕たちはアジトに帰った。イチロウとサクラも帰っていた。そこはとある公園のベンチ。
「駄目だった、全然売れなかった」広げた掌には数枚の百円玉があるだけだった。
   ★
「海が見たい・・海が見たいわ」とミッチ。僕らは殆ど飲まず食わずの状態だった。
「海?」とイチロウ。
「海!」とミッチ。
「う・み??」とサクラ。
「ねえ、海をみにいきましょうよ」僕たちは暫く黙っていた。
「それもいいかもな」とイチロウ
「砂浜に寝そべって俺達の灰色の未来について思いをめぐらすのも悪くないだろう。しかしそこから何かが生まれるとは思わないけどね」イチロウは詩人だと僕は思った。字を一つも書かない詩人だとも・・

 僕たちは幾つもの町を通り過ぎて海に近づいて行った。バスに乗る事が金銭的に難しかったのだ。無理をすればできないことだろうが極力出費はしたくなかった。
 華やいだ夜の町を通り過ぎた時、空から小雨が零れ落ちてきて、僕たちは小走りに古ぼけた駄菓子屋の軒に逃げ込んだ。ちょっとの間に雨は激しくなりそして通り過ぎていった。
 
 土産を残して。
 始めにそいつを見つけたのはサクラだった。「あれ、何?」と指さした先を僕は見た。
それはずぶぬれになった、ほんとうに小さな子猫だった。ニャーン。ミャーン。子猫は泣きながら地べたに座っていた。そして僕らの方を物悲しげに見た。
 ミッチが僕とイチロウの間をすり抜けて子猫の所へ行きそして抱き上げた。子猫はミッチの胸の中で目をつぶった。
「さあ、行きましょ」とミッチ。
「その猫、連れて行くのか」と僕。
 僕たちは四人と一匹になり、またゆっくりと歩き出した。
 僕たちは夜も眠らずに歩いた。

   ★
 海に着いたのは夜も開け始めた早朝。子猫は元気になったようだった。
 僕たちは太陽の昇るのを白い湿った砂浜に寝そべりながら眺めた。海面にキラキラ輝く白く赤い光。巨大な眩しい太陽。寄せては返す波。そしてその波の音色。早朝のひんやりとした空気。
 僕らそれらの前に寝そべってはいられなくなり、さっと立ちあがった。そして、一回、二回と深呼吸。
 みんなも僕にならった。
「ねえ、泳がない?」といなんりミッチは服を脱ぎ捨てて海に飛び込んでいった。
「もうすぐ夏、けれどまだ夏じゃない・・・春の陽の中で海に泳ぐか・・」とイチロウ。
 僕たちは裸になって泳いだ。子猫もだ。
   ★
 飛ぶ所は・・・何も見つける事はなかった。僕たちは今までも飛んできた様に思う。羽ばたいてきた様に思う。飛ぶ事は生きる事だって事は何も今知った事じゃない。
 僕たちは今まで飛ぶ気もなしに来たんじゃないのか?飛ぶのに場所なんて関係ないんじゃないのか?
   ★  
 夜。星の降る様な夜。
 風、吹きぬけて髪をなびかせる。
 月光、海辺に降り積もる。
   ★
 僕たちはまだ海にいた。砂浜に寝そべって。
「私たちこれからどうなるのかしら・・」とサクラ。楽天家のサクラらしくない。
「そんなこと、分からないよ・・・でもそれは僕らしだい」
「そうね、・・じゃあ私たちこれからどうするの?」
 イチロウが言った。
「僕らは四人だ、何故四人なんだ?」
「四人じゃないわ、四人と一匹よ」とミッチ。
 その時僕は夜空に流れる星を見た。
「イチロウ、お前・・」
「そうさ、俺達はしょせん、一人さ、俺は君たちと別れようと思う」と言いながらイチロウは立ち上がった。そして歩き出した。
「イチロウ待って」サクラはイチロウを追っていった。
   ★
「二人か」
「二人じゃないわ。二人と一匹よ」
砂浜には二人の足跡。イチロウとサクラの・・・。
 僕らは抱き合ったまま動かなかった。
「暖かい」とミッチ。
 夜よこのまま明けないでくれ。
   ★
 僕たち、僕とミッチの横を子猫は軽快に歩く。あての無い旅だけれど、僕たちの足はしっかりと大地を踏んで歩く。
 僕たちに悲しい事はなにもない。僕たちは今飛んでいるのだから。

 (了)

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掌編 | コメント:2 | トラックバック:0 |

「魔女のはかりごと 第15回(最終回)」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

魔女のはかりごと 第15回(最終回)

 今では堀の魂の黒さは薄らいでいた。ハカリにはそれが分かった。孤独は魂を黒くもするし、逆に輝かせもする。しかし、いつも一人ではいけない。堀は知っていたはずなのだ。
そんな事は。しかしそれから目を逸らし自分の殻に閉じこもり、世界を対決すべき対象としか見ていなかった。それは孤独な戦いだった。自分を受け入れようしない世界への復讐だった。ひとの才能を能力を妬み、虐待の対象にして服従させようとする世界。例え、攻撃してこない人でもその心の中は嫉妬の気持ちで渦巻いている。それが社会だった。社会はどうしようもない人間の集まりで出来ていていて、そんな社会が堀には許せなくて、絶望していたのだった。堀はハカリの手の温もりを感じながら今まで自分の係わってきた社会のなかで、自分を遠慮勝ちに見ている視線を思った。それを自分は軽蔑の眼で見返していた。弱虫、意気地なし、お前たちに何ができる。そんな目でみても私はお前たちに、声をかけたりしない。

 ハカリは堀をじっと見つめた。言葉はもはや必要ではないと感じていた。堀先生はこちら側にいる。魂は動いたのだと見知った。掌の下、堀の手の中の血液の流れがハカリの血の流れと共感している様に感じた。堀先生はもう大丈夫だとハカリは感じた。胸が熱くなりじんわりと涙が滲んできた。

「私はこの学校を去るわ」突然、堀が言った。その堀の言葉にハカリは驚き、手に力がはいった。
「この学校での私は私じゃなかったと気がついたのよ」

 ノックの音がして、空子と本田が静かに部屋に入ってきた。ソラはハカリの横に本田は堀の横に座った。
「本田さん、あなたにお願いした量子さんと空子さんのスパイの話はなかった事にして」堀は本田を真正面からみながら言った。
「先生?量子さんに負けたの?さっきの話はなに?私の友達になってくれるって先生言ったのに」
「私はあなたを利用しようとしたのよ。社会に対する復讐。それはみんな不幸になればいいって思っていたから」 堀は今までハカリに話していた、自分の過去を本田に語った。
「羊の群れなんて生きている意味ないと思っていた。だから利用できるものはする。本田さんは羊だと思っていたのよ。それも群れから離れた羊の中でも弱い羊」
「本田さんの友達は私じゃない。自分のみつけないさい。本田さん、空子さん、私はこの学校を止める事にする」ソラはハカリを見た。ハカリなにしたのと。ハカリは左右に首を小さく振った。ソラはハカリの目がうるんでいる事に気がついた。そして堀を見てああ、大丈夫だと感じた。

「本田さん、何かあったら私でもハカリでも、ああ、ハカリって量子の事よ。どちらでもいいから何でも言ってね」ハカリとソラが本田麻里を優しく見つめた。本田はまだ堀先生の方を見ていた。

「私は間違っていたのかもしれない。弱虫は自分だった。孤立は強い事だと思っていたけれど、逆だったみたい。それは強さではなかった。自分に救いを求めていた人がいたのね。それにやっと気がついた。社会は駄目な人間の集まりだと思って諦めて絶望して、こんな社会なくてもいいと思っていたけど、弱いから社会があるのかもしれなない。ただ慰めあうだけでは、何にもならないけれど、そんな弱い人たちから社会はかえられるのかもしれない。量子さん。あなたは強いわね。空子さん、あなたも・・・そして本田さん、ごめんなさい。あなたは孤独じゃないわ。あなたが気付くだけで世界は変わるのね、きっと」


* * * * * * * * * * * *
 堀教諭は学校を去って行った。その見送りは殆どなくて、クラスでの送別会もなくてひっそりと去って行ったのだったが、ハカリもソラも心は晴れ晴れとしていた。堀は最後に二人に向かって言った。

 「量子さん、空子さん、新しい学校が務める事が決まったら連絡する。こんどはあなたたちに負けません。沢山の本田さんの相談にのって、助けてあげることにするわ」

「先生、応援してます」二人揃って言った。

 堀が校門から出て行く後姿は颯爽としている様に見えた。堀にはハカリとソラの魂が見えた様な気がした。それはまぶしかったけれど暖かった。世界は目を向ける者には開かれているのだなと思った。

 本田麻里は相変わらず一人で居る事が多かったが、いままで見たいに、孤立はしていなかった。少しづつ話をする友達が増えている様だった。

 学校に魔女がいるとの噂が広がったのはそれから間もなくだった。

(了)

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長い間、お付き合いしていただきありがとうございました。

ソラとハカリには、またいつか会いたいと思います。
できたら虹子&紅葉と一緒に活躍できる話を作りたいなんて思っていますがどうなる事やら。
今まで応援、感想をいただいて本当にありがとうございました。

こんな素人の作品なのに読んでいただいて感謝しております。
これからも宜しくお願い致します。

次は、中断している機械蜘蛛の塔 を再開するべく頑張りますね。とりあえず復習してます。


創作 | コメント:8 | トラックバック:0 |

「魔女のはかりごと 第14回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

こんばんは~★
ハカリの物語 14回目です。

やっと、纏まってきました。
ハカリとソラの物語 次回が最終回の予定です。

よかったら感想、応援宜しくお願い致します。


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魔女のはかりごと 第14回

堀の心中に煙草を押しつける黒沼のとりまきたちが浮かんだ。その後ろで黒沼の薄笑いの顔が浮かぶ。自分のやろうとしていることは黒沼と同じ事だろうか?このクラスの中ののけ者の様な孤独の存在の本田麻里を使ってやろうとしたことそれは、クラスの動静を報告させること。自分に反抗的な量子や空子のことをそれとなく探ること。できたら二人と親密な関係になればより良かった。そうして量子たちを攻撃できるような材料を集めようと思ったのだった。それは黒沼と同じ事だろうか。
 
 本田麻里自身にとってそれはどういう事だろうか?虐めている訳ではない。苦痛が伴う様な事でもない。だから本田にとってはそれほど嫌な事ではないのではないだろうか。
 本当にそうだろうか。級友をスパイするということはどういうことだろうか?級友?その前に本田にとって真の意味での級友がいままでいたのだろうか?本田はクラスの中で孤立していた。友達という存在はいなかったに違いない。毎日がやりきれなかったにちがいない。だからたとえスパイという形であっても級友と係われるということは幸せではないのだろうか?そうに違いない。そうであれば自分のやっていることは悪い事ではない筈ではないか。

「わたしのやっていることは黒沼とは違う」堀のその言葉にハカリはキッと堀を睨んだ。
「先生。やっていることは違うけれどうけた側にとっては同じよ。先生は本田さんを使って私たちをみはらせようとしたのね」ハカリは堀の魂の揺れから堀の考えを読みとったのだった。

「やっぱり、あなたは魔女だったのね。そうでなかったらそんなこと分からない筈」堀はハカリの事をしみじみと見た。ハカリは黙っていた。
「量子さん。あなたには、やっぱりなんだか不思議な力があるのね。それはどんな力?」

 ハカリは教えるべきか迷った。しかしその迷いも短いものだった。
「私は人の魂を見ることができるんです。堀先生の魂は黒くて、周りが蠢いていて、トゲトゲで、だけど、今は違う。輪郭に輝きが見えはじめている。だから、だからきっと・・・」

 堀はハカリの言葉を消化するように考えた。量子さんはきっと本当の事をいっているのだろ。自分の過去もそれで気が付いたのかもしれない。

「そう。そんな能力があなたにはあるのね。かなわないわね。ならば、あなたに勝つことはできなないのね」

(つづく)

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創作 | コメント:6 | トラックバック:0 |

「七王国の玉座(氷と炎の歌第1部)」ジョーン・R・R・マーティンを読みました!! 「本日の1冊(13748)」



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七王国の玉座(1)
七王国の玉座(2)
七王国の玉座(3)
七王国の玉座(4)
七王国の玉座(5)

著者 ジョージ・R・R・マーティン
早川文庫SF
評価 ★★★★★++

半年以上、積読してありました。お友達のnanacoさんが再読しているのを拝見して、俄然読む気持ちが強くなり、よみはじめた次第です。

 グインサーガをよみ始めたばかり(こっちは現在11巻、草原の風雲児まで読みました^^スカール!!)で凄く読もうか迷ったのですが1巻を手に取ったのが運の尽き。

3巻目位を読んでいるときに2部の王狼たちの戦旗を注文してしまいましたよ。

 中世西洋の様な異世界。
北には壁があり、異形人たちの侵入を夜警団(ナイトウォッチ)が守っている。

その壁の一番ちかい国の領主エダード・スターク公に親友のロバート・バラシオン王が王の手(補佐役)になって欲しいと依頼にくる。

エダード公にはケイトリンとの間にロブ、サンサ、アリア、ブランドン(ブラン)、リコンの5人と私生児ジョン・スノウがいる。

物語の早々にこの6人が大狼のみなし子を見つけ、それぞれが飼うことになります。

私生児ジョンと狼ゴースト(1巻の表紙)彼はケイトリンに愛されていません。エダードが王の手として南にいくおりに壁を守護する夜警団へと送られてしまいます。
このコンビが最高に素敵です。ジョンの優しさが凄惨ともいえるスターク家の運命のなかで、希望の様に光ります。
 アリアは姉サンサ(狼の名はレディ)とは全く逆の活発な子。彼女の狼はナイメリア、途中でわけ合ってはぐれてしまいます。アリアはジョンとすごく仲良くて慕っています。
 エダードの留守を任されたのは長男のロブ、スターク家の先頭に立つことになります。彼の狼はグレイウィンド。
 ブラン(狼の名はサマー)には始まってばかりに悲運が襲います。この事件にはロバート王と一緒に北に来たラニスター家が絡んでいて、ケイトリンはテリオン・ラニスターを疑います。リコンはまだ子供でその狼シャギードックともども、まだまだ、未熟で御しがたい野卑な行動を時々します。

 スターク家を中心に旧王のターガリエン家の生き残りヴァイサリス、デーナリス。
前出のラニスターのテリオン、等等、膨大な人物たちが物語を綾なします。彼ら、彼女たちがまた魅力的でひと癖もふた癖もあります。

 主人公はいません。群像劇で章毎に変わります。それが少しとっつきづらいかもしれませんが、読み始めれば惹き込まれること必定。

 色々語りたい事だらけですが、興を削ぐようになりそうなのでやめときますが、とにかく面白いです。

 グインも読みたいし、ジーン・ウルフの新しい太陽の書もよみたいし、守り人シリーズもよみたいし・・・・困るほど読みたい本が増えます・・・・



作家マ行 | コメント:6 | トラックバック:0 |

掌編「本に住むもの」 日向永遠

皆さん、こんばんは~★

凄く久しぶりですが、短いお話を書きたくなって、即興で作ってみました。
即興といってもなんとなく頭の片隅にあったイメージを膨らませたものです。

どんな感想をもたれるか、教えていただければ嬉しいです。

ハカリの物語の途中の息抜きみたな・・・

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「本に住むもの」

 本だけが友達だった。友達はいっぱいいた。魔法使い、ドラゴン、孤児、盲目の先生、歌の上手な少女、殺人鬼、サイコ、本を開けばいつでも誰かが待っていてくれる。
 ファンタジーの設定で主人公が本の世界に迷い込んでしまい、大冒険をするのがあるけれど、あんな素敵な事がわたしに起きないかなっていつも思っていた。たとえ、狼男においかけられても、きっと素敵な騎士があらわれて救ってくれる。そして言う。
 「素敵なお嬢さん、お怪我はありませんか」わたしは頬をそめながらええ、大丈夫ですって言うの。だけどそんな事はいままで一度も起きなかった。そんな事を思っているからだれも友達がいないのかもしれない。いつも学校の図書館にいりびたり、この学校の誰よりも本を読んでいる自信がある。本には独特の匂いがあってその匂いに包まれているだけで幸せ。でもその幸せを誰も理解してくれない。何故なんだろう。ああ、今、この本の中から、魔女が現れて、わたしを連れてってくれないかな・・・
 
 家に帰り、夕飯もそこそこに、読みかけの本を開く。この本は図書館の奥の奥にあっていままでだれも読んでないみたいだった。学校ができた頃から何十年もあったはずなのにわたしがはじめて読むみたいだった。題もかすれていて良くみえない。扉にも見開きにも題が書かれていない。昔の本でとても字が小さくて、読みづらいのだけれど、凄く不思議な雰囲気があって夢中になった。まだ、学校に行く事が一般的になっていない時代、二人の少女の友情の話。途中、素敵な青年に二人が同時に恋をして喧嘩になったり、同時に失恋したりしている。次はどうなるの・・・

 次の夜、その続きが気になって直ぐ本に飛びつく、なにか変だった。厚くなってる?
最後のページを見ると600ページだった。変な感じだったのだがきにしないで本をよみだした。学校では試験がはじまり二人は猛勉強をしているのだ、子猫が迷い込んできて、大慌て、その子猫が弱っていて二人は寝ずに看病する。当然試験の結果は惨憺たるもの。
二人は親から大目玉を貰う。そこまで読んで栞をはさむ。

 夢なのかしら。その夜、うつらうつらしていると二人の少女がわたしの顔を覗きこんでいる。そしてなにやら話している。

「ぐっすりねてるわ」
「だいじょうぶね」
「この子の大好きなお話を考えなくちゃ」
「それにはこの子の事をしらなくちゃね」
「そうね。そうね」

 二人の女の子はわたしにそっと蔽いかぶさる。わたしはなんか一冊の本になっていて彼女たちはそのページを凄いスピードで捲っている。

 やがて、ふたりの女子はお互いを見る。
「次のお話が決まったわね」
「うん」

 次の日、ページは700ページまで増えていた。わたしはもうびっくりはしなかった。

 ページを開くと本の中から二人の女の子がわたしにむかって声をだしてきた。

「いつも読んでくれててありがとね。わたしたちの始めての友達。さあ、この本の中で友達になりましょ。次はだれがよんでくれるかな」


(おしまい)


掌編 | コメント:6 | トラックバック:0 |

「魔女のはかりごと 第13回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

こんにちは~★
話は終盤に入っているのですがなんか行ったり来たり・・・

う~む。予定と違う・・・

感想お待ちしています^^宜しくおねがいいたします。

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魔女のはかりごと 第13回

 ハカリは堀教諭を前にもう少しだと感じていた。ハカリは堀の手を見ながら言った。
「先生が学生時代、どんな事があったかおしえていただけませんか?」

「どうして、私の過去に興味があるの、量子さん」

「先生は、私たちに何を教えようとしているのか、それは何故なのか知りたいからです。それと先生が学生のころ何を感じていたかが知りたいからです」

「そう、ならば教えてあげるわ。私はね。今まで生きてきて人の醜い部分と欲望を沢山みてきた。私は中学校、高校と主席で入学したわ。でもそれで待っていたのは、リンチやいじめだった。いじめに加わらない同級生はみてみぬふり。学校は、社会の縮図よ。私が教師になったのは単に自分の能力を活かしただけ。能力ってなんだと思う?量子さん。生きる為の手段よ。そうでしょ?私の能力は知能。その能力で教師になったのよ。少しは期待したわ。教師になれば、学生時代とはちがった、良識を見られるのではとね。生徒たちにとって神聖であるはずの教師の本当の姿をしってる?私が教師になったその年、私は複数の男性教師から執拗に言い寄られたわ。それは私に好意を寄せてではないのよ。私を欲望の対象でみてたのよ。中にはこの人は信じていいかなと、思った人もいたのよ。でもその人は、次の年に新任の女性教師が着任したら私のもとを去っていった」

「先生はその人の事を愛していたのですか?」

「ええ、それは愛と言っていいのか分からないけれど、愛される事を知ったわ。けれどそれは結局信じた愛ではなかったのよ。裏切りよ。それから一人に決めたわ。男も信用できない。そう、きめてからは寄ってくる男もいなくなった」
「先生はそれでいいの?先生は若いんですよ、まだまだ先は長いのに、何時までも一人でいいのですか?」

「あなたに何が分かって?生意気な人は大嫌いよ。黒沼の様な奴の次に嫌い」

「黒沼?その人が火傷の傷と・・・」

「そうよ。中学生になったばかりの時、体育館の裏に呼び出された。そこで煙草を押しつけられたのよ。それは私にとって決定的な出来事になった。その事とそれを知りながら、見て見ぬふりをしている羊たち。世界は狂犬と羊でできているのよ」

「先生」言うとハカリは再び堀の手にそっと触れた。堀は心ここにあらずといった様子で空を見つめたままだった。

「先生、本田さんになにをしようとしていうのですか?」

「本田さん?ああ本田さんね。羊の典型ね。彼女」

「先生!先生が狂犬になるのですか!その黒沼という人と同じになってもいんですか」

「煙草の痕は見えるけど、私のやる事は見えないわ」
堀のその言葉は内容とは裏腹に小さかった。それは堀が自分の事に疑問を持ちはじめている?

「先生!先生!」ハカリは手に力を込めて掘の手を握った。
「羊だってむげに傷つけてはいけない。先生は黒沼ではないでしょ?」

(つづく)
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無題

 何でもない一日が過ぎて、けれど何でもない一日なんてなくて、何かあるはずで、おもいだそうとするけれども、何も特出すべきこともない、それが一番いい事かもしれなのだけれど、それでいいのだろうかと自問するとその答えはそれではいけないとなり、机のそばにあった英語の教材を、数ヵ月ぶりかで開いてみる、そういえば前回開いたのも、何カ月か空いていたっけと思い出す。
 毎日を生きて行くということは、変化を受容して、変化を日常に戻すことなのだろうけれど、時々、辛すぎたり、悲しすぎたり、寂しすぎたりする変化があるから、堪らなくなる。
 そんな時は、お酒におぼれたり、ただ伏せっていたりしてやり過ごそうとしなければならない。生きて行く事の意味は変化を受け入れる事が大きいのだろう。
 何も無い一日なんて、一日もないと思う。けれどなにも変わらないし変わらない事を望む自分がいる。余りに想像力に乏しくて、貧困な精神だと、気がつかない、そして、平気で人を傷つけてしまう何気ない言動を犯してしまうのだろ。そんな人たちを見るにつけ、本を読む事の意味をみだそうと、無理やり意味づけようとして、やれ感受性だの知識だのと言ってみても自己満足にすぎないのだろうか。
 
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皆さん、こんにちは、ブログ更新が空きそうなので、意味もない事を書いて濁してみました^^

何気なく、普段思っていたりしていることを、詩ともエッセイともいえないような文章にしています。

 すべての嵐が過ぎ去って残っているものが本物。だけど、この嵐が最後ではない。

なんてことを聞いた風に書き綴っています、そして自分の小説のどこかに使いたいなんて思っているわけです。

 書く事は書く事で磨かれていくのでしょうか?もっと文章が旨くかけるようになりたいものです。

 明日はハカリの続きをアップできるよう頑張りますね^^

最近また英語の勉強をしたくなってきました・・定期的に英語熱がぶり返します。全然身に着いていないのは中断するからなのでしょうね。駄目ですね・・・

 
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「魔女のはかりごと 第12回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

みなさん、こんにちは~
いつも読んでいただいてありがとうございます。本当に嬉しいです。

ハカリ&ソラ 12回目です。
もう少しで終わる予定なんですが、結末がまだ朧です。

感想、応援宜しくおねがいいたします^^

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魔女のはかりごと 第12回

 堀は逡巡していた。量子の秘密の能力を知るために試してみる価値があると思うのと、自分の中の弱い部分がでて流されてしまうのではないかとの不安の中で葛藤していた。しかしおくびにも出さなかった。空子もそうだが、彼女たちは、他人のちょっとした仕草や表情から色々な情報を得ている可能性がある。特殊な能力はその延長線上のものにちがいない。だから堀は表情にでないように気をつけていた。
 目の前に量子の手がある。透き通る様に白い肌に静脈が透けて見えている。その手が堀の火傷痕のある手に重なっている。量子の手は暖かかった。人に触られる事は大嫌いな筈なのに、それほど、不快に感じないのは何故なのだろう。火傷の痕からなにか、暖かいものが流れこんでくる様な感覚がする。そうすると量子への敵意が薄れそうになる。堀はその心とは裏腹に手を無理矢理にそして乱暴に引き剥がした。

 量子はその堀先生のちょっとした動揺を見逃さなかった。その拒絶するするようような動作とは違い、魂の揺れはますます赤みがましてきていたのだった。ひょっとしたら、先生の心を動かせるかもしれない。

 ***********
 
 空子は本田麻里を追いかけて、そして階段の途中で声をかけた。階段には二人の他には誰も居なかった。

「本田さん」本田は空子の声にビクッとして立ち止まった。
「本田さん、とても大事な話があるの。話を聞いて貰える?」空子は本田の背に向かって話しかけた。本田が階段の手すりに手をやり、そして空子の方に振り返った。その表情はおびえた小鳥の様だった。
 
「なんの話?」本田の声が震えている。
「堀先生の事。理科実験室で少しいい?」空子はできるだけ優しい声で言った。本田に無用な警戒心をあたえてはいけない。本田さんも苦しんでいる筈だ。先生の事でこの子を傷つけてはいけない。そう思いながら話した。
「分かったわ」本田が頷く。

 本田は空子の後をついて理科実験室に入った。そして実験台の前の固い椅子に並んで座った。
 空子はどう話をきりだそうか考えていた。その間、少しの時間があった。本田は不安そうに俯いている。

 空子はクラスの中の事を頭に思いうかべていた。本田さんは誰と仲がよかっただろう。すぐに、思い浮かばないと言う事は、孤独な子だったんだと今更ながら気がつく。それは空子には、ショックだった。堀先生との事でハカリとあんなに考えたのに、本田さんの事には、全然、気をつかわなかった。

 教室のざわつきの中、ひとりぽつんと座っている姿がおもい浮かぶ。本田が喋りだした。

「空子さん?堀先生を攻撃しないで。私には先生しかいないの。どんな関係でも、私の話し相手は先生なの。クラスの誰が私と話をしてくれるの?空子さんにとっての量子さんが私にとっての堀先生なの」その言葉は空子にとって胸に刺すほど衝撃だった。

「本田さん、私もハカリ、いえ量子も先生を攻撃してるんじゃないよ。本田さんにはだれか親しい友達がいるとばかりと思ってた。クラスの誰も・・・」

「嘘、空子さんや量子さんが私のことを思ってくれた事なんてない」空子は言葉が詰まった。たしかにそうかもしれない。

「本田さん、ごめんなさい。知らなかったの。あなたが一人で悩んでいること」空子は心から言った。

「だけど、堀先生といることが本田さんにとって良いことだとは思えないよ」空子は本田の目をみながら訴えるように言った。本田の体は細かく震えていた。その潤んだ目
で空子を見た。そして震える声で
「先生は、先生は、私の、私と友達になってくれるって、そんな事言ってくれた人は初めてだから・・・・」

 空子は悩んだ。本田さん、あなたは堀先生に利用されているんだよ。けれどそれをストレートに言って本田さんに届くとは思えない。聞いても貰えないだろう。本田さんにとってたとえ偽りであっても初めての光がさそうとしているのだから。

 こんなに近くにこんなにも悩んでいる子がいたのに、気が付かなかったなんて。空子は、自分たちがやろうとしている事の意味を考えた。

(つづく)

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次回も今のペースでアップ出来る様がんばります!!


今日も暑いです・・・・負けない様にしたいです

創作 | コメント:6 | トラックバック:0 |

「悪の教典」貴志祐介を読みました!! 「本日の1冊(13748)」


悪の教典(上)

悪の教典(下)
著者 貴志祐介
文藝春秋
評価 ★★★★★+

今年のマイベスト候補!だけど、新世界の方が好みではあります^^

 主人公 蓮実聖司は高校の人気英語教師。高い知能をもっている。女子生徒を中心に絶大な人気がある。しかし、一部には彼にそこしれない不安を感じている生徒もいた。
 
 上巻の中ほどで明かされるのでいいかと思うので書きますが彼には人に共感する能力がない。彼の知能は自己の保存のために使われる。サイコパスなのです。彼に不審を抱く生徒が彼の前の高校での事件を探ろうとすると・・・

下巻の怒涛の展開は、良いのか?と・・・・目を覆いたくなるような場面が連続します。

 こんな異常人物ハスミン(蓮実聖司)なのですが不思議に最後、もっと見たい(読みたい)と思います。

 サイコホラーの傑作 「羊たちの沈黙」を思いだしたのは共通項が天才的なサイコパスのためか。

面白かったです。ページを繰る手が止まりません。特に下巻は。

ハスミンの吹く口笛、モリタートが印象に残ります。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
学校という閉鎖空間に放たれた殺人鬼は高いIQと好青年の貌を持っていた。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー。

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
高校を襲う、血塗られた恐怖の一夜。極限状態での生への渇望が魂を貪りつくしていく。風雲急をつげる超弩級のエンタテインメント。

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昨日は一日、ズキズキと頭痛がしどうしで辛かった。

家にかえってからそのまま、寝ました。
一晩したら痛みはなくなったのですが頭がなんか重いです。

ゆっくりしていようと思います。
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作家カ行 | コメント:12 | トラックバック:0 |

「魔女のはかりごと 第11回」日向永遠 「連載小説を書いてみようv(41975)」

こんばんは~

堀先生対ハカリ&ソラの第二ラウンド開始です。

ハカリたちは堀先生に対しどう対応していくのか・・・

またまた、感想お待ちしてます。応援、感想宜しくお願い致します^^

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魔女のはかりごと 第11回

 月曜日。SHRも授業も何事も起こらず普通にすぎた。そして放課後、ハカリとソラは職員室へ堀先生を訪れた。堀先生の前には本田麻里がいた。本田は紙片の様なものをスカートのポケットにしまっているところだった。本田がちらと量子を空子をみてそして慌てて目をそらせた。そして、小声で堀先生に暇を告げると職員室をでていった。

 ハカリはソラに目配せした。ソラは頷くと本田の後を追った。ハカリは堀先生の前にたった。

 堀教諭がハカリの方へ顔を向けた。
「何かしら?」
 ハカリは無言でポケットから集金袋を取り出すと先生の前の差し出した。

「この袋が私の机の中に入っていました。自分には覚えがありません」

 職員室の中は少しざわついていたのだったが堀の近くの教師たちが量子の方を向いた。量子は今年の一年の中で学力的にも容姿も目立つ方だった。だから職員室に入ってきた時から注目されてはいたのだったが、集金袋をとりだした事で、何事かが起こっているとの疑念をいだかせた様だった。堀は周りの注目を集める事を恐れた。

「量子さん。指導室に行きましょうか」そう言うと堀は集金袋を手に席を立った。指導室職員室に隣接していて個室になっている。堀はドアの前の札を使用中に裏返すと量子を先に入れ、ドアを閉めた。
 
 ハカリは黙って奥に座った。その前に堀はゆっくりと座った。そして低いテーブルに集金袋を置いた。堀はハカリを真正面から見た。

 ハカリは堀先生が口を開こうとしたのを見て、先に喋った。

「これは先生が私の机に入れたんですね?何故こんな事をするんですか?」ハカリに絶対的な証拠があった訳ではなかった。けれどハカリの第六感と共感感覚は堀がやったと告げていた。ソラと話あってその確信を信じて行動する事に決めたのだった。

「量子さん。あなた、言っていることの意味が分かっているの?そんな事を言って後で違ってましたではすまないわよ」堀は努めて冷静を装いハカリを見つめた。

 堀は自分に言い聞かせていた。今こそ本当の量子さんの真実を知るときだ。この子にどんな能力があるのか知らなければならない。そしてそれを逆手にとる手段を講じるのだ。量子さん、あなたの手の内を見せなさい。堀は自分の手の甲に視線を落とした。
 
 その瞬間を待っていたのか、ハカリは堀のその手を取った。

「先生、この手の痕の話を教えてください」ハカリは堀の顔をじっと見た。まるで心の奥を覗く様な視線だった。真実、ハカリは堀の魂の律動を見ていたのだった。黒グロとした魂はよく見ると揺れ始めていて、端に微かな、ほんの微かな赤い揺れが見えた。
 
(つづく)
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終末にも続きをアップ出来る様、頑張りますね。

ハカリとソラが主人公なのですが、堀先生にも、なんか動かされつつあります。
どんな風に転がっていくのかなと自分でも分からないのです。

つづきも宜しく・・・。

今日は久々の雨(台風ですが)でした。被害もなく無事通り過ぎました。
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「量子回廊」大森望・日下三蔵編を読みました! 「本日の1冊(13748)」


量子回廊
創元SF文庫
評価 ★★★★☆

日本年間SF傑作選の3巻目。
収録作品、どれも面白かったです。

この巻には漫画が二編収録されているのですが、
市川春子さんの「日下兄妹」が逸品。肩を痛めた高校球児の所にあらわれた不思議なもの。それが段々成長していって兄妹の様になんですね。異星人ものの一種なんですが、なんとも素敵な作品。みなさん立ち読みでもよんでみてください。

田中哲弥さん「夜なのに」新城カズマさん「雨降りマージ」、それと上田早夕里さんの「夢見る葦笛」が良かったです。

この巻の巻末に、SF短編賞の2回目の応募が乗ってます。
今回はどうしようかな。ちょっと悩んでます。


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
第1回創元SF短編賞受賞作を収録。収録作の著者は、過去最多の19人。

【目次】(「BOOK」データベースより)
夢見る葦笛(上田早夕里)/ひな菊(高野史緒)/ナルキッソスたち(森奈津子)/夕陽が沈む(皆川博子)/箱(小池昌代)/スパークした(最果タヒ)/日下兄妹(市川春子)/夜なのに(田中哲弥)/はじめての駅で 観覧車(北野勇作)/心の闇(綾辻行人)/確認済飛行物体(三崎亜記)/紙片50(倉田タカシ)/ラビアコントロール(木下古栗)/雨ふりマージ(新城カズマ)/For a breath I tarry(瀬名秀明)/バナナ剥きには最適の日々(円城塔)/星魂転生(谷甲州)/あがり(松崎有理)


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「魔女のはかりごと 第10回」日向永遠

みなさん、こんにちは~★

魔女のはかりごと 10回目です。
話はそろそろ終末へむけて動き出してきました。

あと何回かで終わる予定でいます。

ちょっと短いですが読んでくださいね。また感想宜しくお願い致します^^

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魔女のはかりごと 第10回

  堀三枝は今日の授業の事を思い出していた。量子の顔が目に浮かぶ。あのとき、授業が終わらなければ果たしてどうなっていただろう。

 あのとき、一瞬うかんだ疑念はなんだったろう。自分の孤独は世界との関わりを最小限にするため。醜い世界をできるだけ遠ざける事。そうすることで自分を守ってきたつもりだった。

 自分の信じる世界を生徒に教える事はいけないのだろうか?裏切られない為には信じなければいいだけの事。一人で生きていく強さを持てばいい。

 すべての出来事には意味があると思いたいけれども、現実に起こることはあまりに理不尽すぎて、にげだしたくなる。世の中は善人が生きて行くにはあまりに辛すぎる。強さは欲望に結びついていて、善意の方を向いてはくれない。弱いことは生きるに値しないと嘲りの声ばかりが聞こえる。理想を主張するにはこの世は醜すぎる。ならばその世界を受容しなければならない。それが生きていくことではないかと思う。

 堀はあらためて思った。世界について。世界は弱いものに寛容ではない。表面的はたしかに援助したりしている。けれど、世界を変えようとはしない。そんな世界に希望はもてない。だから、だから、自分は間違ってはいないのだと改めて思った。

 量子は不思議な生徒だ。あの子に、なにか不思議な能力があるのは間違いない。

 堀は自分の手の甲の火傷の痕を見た。当時に比べれば随分小さくなって目立たなくなっている。これを見ただけで煙草を押しつけられた痕なんて分かる筈がない。授業では動転してしまって、そのまま鵜呑みにしてしまったが、これが煙草の痕なんて分かる筈がないではないか。いまから否定はもうできない。あのときが魔女を暴くチャンスだったのだ。それをミスミス見逃してしまったばかりか自分で受け入れてしまった。何も疑わずに・・。

 これからあの二人にどう対処していくのがいいのか。そして自分を晒さないようにするにはどうしたらいいのか。

 堀は考えた。誰か使えそうな生徒はいないだろうか。量子たちの行動を見張らせて、逐次報告させるのに使えそうな生徒はいないだろか。

 堀は見舞金の集金係だった本田麻里のおどおどした顔を思い浮かべ、ほくそ笑んだ。あの子がいいわ。
 明日にでも本田を呼び出そう。堀は思うのだった。

(つづく)

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また一週間以内に続きをアップする様、頑張ります^^
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9月になりました。まだまだ残暑がつづいていて暑いですね。体調には気を付けたいです。
皆さんも疲れがたまっているのではないでしょうか?気を付けてくださいね。




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